2010年度版 地震工学テキストダウンロードサイト

講義資料をこのサイトから配布します。各自ダウンロードし、講義に持参のこと。
その他、休講案内などもこのサイトを使いますので、逐次チェックのこと。

学生諸君からは毎回質問票を提出してもらい、各人に回答を渡していますが、他の学生の質問からも理解が深まることも多いと思いますので、順次代表的な質問をアップしていきます。回答には、M1学生(ふと君・もや君)も協力してくれています。


【2010年4月12日】
■第1講 導入
本講義では地震防災計画学の概要を解説します。昨年度までは、地震動入力(Hazard)に主力をおいた講義であったように聞いています。1970年代の地震工学は地震動入力の研究がメインテーマでした。もちろん、地震動入力研究は地震防災の基礎的かつ重要研究であることは、今なお誰もが認めるところです。しかし、地震防災は地震動入力だけで解決するほど単純なものではありません。本講義は、防災に必要な職能とそれが展開される職域の広さを解説します。あらゆる分野との接点をあなた方は感じることでしょう。変な言い方ですが、だからこそ防災には未来があるのです。本来、防災は防御という受動的あるいは逃れる・避けるというネガティブな印象を持つ言葉です。防災は科学です。そして、科学は受け身であってはいけません。(今の技術に対して)積極的防災・(災害に対して)攻撃的防災があってもいいはずです。その未来志向はあらゆる分野との接点を見つめ続けることで見えてくるような気がします。本講義を通じて防災のイロハを学ぶと同時に、建築の未来・工学の未来・科学の未来についても考えることを期待します。
Pdf(導入 1Mb)


【2010年4月19日】
■ 第2講 地震被害の特徴(地震被害事例)
最近発生した本邦の地震被害の特徴を眺めます。災害が歴史性と地域性を強く反映していることを理解してください。配付資料は圧縮してあります。
Lzh(地震被害事例 3Mb)


【2010年4月26日】
■第3講 災害管理論
一般概念としての【リスク】と【リスク管理】は、自然災害に関しては【災害】と【対策】の対として理解できます。対策はディテールで議論しなければ実践されません。しかしディテールを議論するためには俯瞰するための思考軸が整理されていないと議論があらぬ方向に展開してしまいます。岡田流の整理学を紹介します。
Pdf(災害管理論 1.8Mb)

北大の学生からの質問は6年ぶりとなります。以下に、代表的なQ&Aをアップしておきます。皆さんも、この欄で採用される質問をして下さい。

Q:危険度は数値化されていたが、その兼ね合いとして挙げられている幸福も数値化されていますか?幸福は人によって大きな個人差があると思うし、でも一般的な数値がないと研究しにくいと思いますが、どうなっていますか?
A: 危険度もそうですが、なぜ数値化する必要があるのか考えたことはあるでしょうか。変化を読み取る必要があるからです。改善するための目標値設定・改善度の評価を通しての施策の良否判定、すなわち、より幸せになるためのプロセスに必要だということです。
幸福の数値化は、世界各地で行われています。我が国でも内閣府が最近実施した国民生活選好度調査の中で、15歳から80歳未満の4千人の無作為抽出で検討しています。「とても幸せ」(10点)から「とても不幸」(0点)まで11段階で幸福度を質問する方法を行ったところ、平均は6.5点という結果が出ました。男女別では、女性のほうが幸福を感じており、年代別では30代の幸福感が最も高いという結果がでています。また幸福感で重視することとして健康が69.7%、家族が66.4% 家計が65.4%となっており、福祉や子育ての充実が幸福感に強くつながっていることがわかります。
 他国では、ブータンが、国民の心の豊かさを表す独自の指標「国民総幸福量(GNH)」を掲げるなど、幸福度の調べ方は多様です。日本では、主に政策に反映させるための調査として、おこなわれています。
 幸福の感じ方も人それぞれなので、仮に同じ環境にあっても幸福と感じる人もいれば、不幸と感じる人もいます。一概に数値化といっても難しいですね。上記は一つの見方と考えてください。あなたは幸せですか?


Q:安全であることも幸せのうちに入ると思うんですが、どうして対立させるんですか?
A:工学は安全を追究する学問であるが、人間が求めるものには安全と対立する概念があるとの説明をしました。もちろん、安全も幸せの一つです。しかし、対立する要求も多いと言うことです。工学とは、対立の中から最適解を求める学問であるといえます。たとえば住居を例にとって考えてみましょう。500万円を資金にして住居を建てるとき、耐震診断値1.0(安全)を確保するのに構造に300万円かかるとします。その結果、住宅の面積は狭くなり、新築の時に楽しみにしていた趣味の部屋が作れなくなったとしたとき、建築会社から耐震診断値を0.7(やや危険)にすれば、構造は100万円で済み、趣味室は可能ですと提案されたら、あなたならどうしますか?


Q:災害時に生き抜くためには個人・地域・行政の役割が重要と学んだが、具体的にその役割をどうやって認識すればよいのでしょうか?テレビや新聞で訴えかける以外の方法はあるのでしょうか?そういった媒体を持たない人たちにはどうしたらいいのでしょうか?
A:認識は自分でするものです。自分が納得しなければ、認識とは言いません。そのための教育(防災教育)が重要だと思っています。しかも、小学生からの幼年期に学ぶことが重要です。成人してから防災に興味を持つ世代は、残念ながら還暦過ぎ世代がほとんどです。愛知県ではそのために、小学校を巻き込んだ防災文化祭や防災体育祭をイベント企画し、盛り上げています。小学生が防災に興味を持つと、その親の世代(20~40歳代)にまでリスクマネジメントの4段ステップ(認識→理解→評価→実践)である「実践」が始まります。
 不思議なことに我が国は、生きるための最低限の知識「衣・食・住」を義務教育化していません。住とは建築です。ですから、日本の町は美しくならないのです。(衣食住)に「病」と「防災」と「経済」を含めて、義務教育化すべきだと個人的には思っています。


Q:危険を回避するには[正常化への偏見]などかなり心的な要因があるとお話しされていたのですが、そのようなことに対して何か公に対策として用いられていることはあるのでしょうか?
A:危険を避けるため(リスクマネジメント)の4段ステップのうち、まず[認識→理解]の段階で、人間には正常化へ偏見という心の動きがあるのだという理解が大切であると説明しました。正常化の偏見とは「自分だけは大丈夫」という思考回路です。例えば、建物内で非常ベルが鳴っても,すぐに逃げ出そうとする人がいないことや、地震が起こった場合の行動を聞かれたときに、自分は怪我をしないという想定で考えることは正常化の偏見と言えます。これは、期待(不安)値によって変わってきます。
 この「危険を過小評価する」ことから逃れるための対策として重要なことは、一般の人々に危険と対策を正しく理解してもらい、災害を正しくイメージしてもらうことです。これは、一朝一夕にはできないので、繰り返し教育する必要があります。具体的にはハザードマップの周知、過去の災害を学ぶことです。
 このような[正常化への偏見]という性癖をふつうの人間は自分も含めて持っているのだと理解することが大切です。


Q:我が国の死因別死者数の推移のグラフで,日常災害による死者が増加している原因としてどのようなものがありますか?
A: 高齢者が多くなってきたことに加え、独居世帯が多くなってきたため、発見が遅れることが原因と考えられます。近所づきあいの希薄さなど、都市化の影響も見逃せません。


Q:資料中にある1ページ目のRiskと4ページ目のRiskは定義が異なっているのですが?
Risk=損失レベル/単位時間=事象/単位時間×損失レベル/事象 …(1)
Risk=Hazard(=Seismicity ×Attenuation ×Ground Amplification)×Vulnerability×Population …(2)
A: 式(1)のRiskは広義のRisk(危険の大きさの定量記載の式)であり、式(2)のRiskは地震時における因果関係から見たRisk(リスク要因)のことを意味しています。広義のリスクは地震のリスクも含みますので、地震リスクを式(1)で評価することは可能ですが、地震以外のリスク(たとえば化学薬品のリスク)は式(1)では評価できますが、因果律が地震とは違うので式(2)では評価できません。


Q:式(1)は具体的にどうやって計算するのかよく分かりません。
A: 危険の種類により、データが異なってきます。上式はそれを一般化して示したものです。たとえば、単位時間の考え方も、ものによって変わってきます。交通事故などは1年を単位とする場合が多いですが、自然災害はもう少し長いスパンで考えた方が良いのではないでしょうか。たとえば、建物の平均寿命(30年)であったり、人間の一生(80年)を単位と考え、対策を立てることが重要と考えます。式の中で一番難しいのは損失レベルの考え方かもしれません。自動車事故の場合は、人の命や車の損傷状態(車の値段)であったり、人身事故の場合は社会復帰するまでの費用や家族への影響なども損失として考える必要があるでしょう。このようなものをどのようにカウントし、指標に集約していくかと言うことは一つの研究課題となります。


Q:なぜ、大きな災害があってからしか対策ができないのでしょうか?阪神大震災があったにもかかわらず、中越沖地震でまた大きな被害を出しているのはなぜでしょうか?
A:難しい問題ですね。大きな災害が起こって、初めてわかる部分というものも沢山あると思いますし、見える被害と見えない被害があるように、対策にも見えない対策というものもあります。大震災後何も対策をしていないわけではありません。公的なものに関しては、兵庫県南部地震以後、積極的に道路、橋や公共物の耐震補強対策がおこなわれてきました。しかし、多くの被害者を出した民家では、住人自身が対策を行わなければなりませんが、お金がないなどの理由で、対策が十分ではありません。
 また、一般の人達の間でも少しずつ防災意識が生まれてはいるものの、まだまだ十分ではありません。一般住民の対策においても正常化への偏見が働くことは否定できません。限られた資産をどう使うかというときに、将来へのRisk回避に資産を回す余裕がある世帯は、まだ少ないという今日的事情もあります。事後対応の段階では、公的な支援や対策に多くを期待しているのかもしれません。自分の命は自分で守るという考えを持つことが大事ではないでしょうか。難しい問題ですが、その解答の一つが安全と調和する幸福の追求だと思っています。


Q:行政支援が及ばぬ時間帯における支援・救出活動はとても重要だと思うのですが、私たちの中にそのような意識はあまりないと思います。その期間に個人ができることや自前に準備するべきことなどの情報があまり公に知らされていない気がしますが。
A: このようなことを発言する人は、私も自分以外に知りません。しかし、自助・共助・公助の中身をよく考えてみれば、そういうことなのです。防災対策については、行政のホームページ上で見ることができます。是非、見てください。


Q:地震防災を主導する際に、大きな視点、小さな視点の間にもう一つ防災の考え方が必要だというお話でしたが、具体的にはそれはどのような考えであって、どこの期間が担うべきなのでしょうか?
A:行政が管轄する行政区の分け方の話でした。現状は、市町村単位での防災(質問者が小さな視点(ミクロ防災)といっているもの)と都道府県単位での防災(質問者が大きな視点(マクロ防災)といっているもの)が組み立てられていますが、そのような行政区分ではなく、地域の同質性に着目した防災単位が必要ではないかとの私論です。地域変化(社会構造的変化・地理的環境変化・地質学的環境変化等)が同質の場合、それを1単位とした行政施策が容易です。特に防災の場合、異質な災害が1単位の中に入ってくると被害が複雑化し対策がややこしくなります。そういう意味で、北海道の場合は、都道府県単位は広すぎるのです。同質の支庁をいくつか束ねたメゾ防災が必要だと思っています。


Q:災害と対策の時間軸での整理で、個人ベースと世帯ベースは内容がイメージしやすいのですが、コミュニティベースと行政ベースでの有効な対策行為が思い浮かばないので教えて欲しいです。
A: コミュニティベースでは、応急生活支援として、避難場所での食糧支援、毛布やタオルの提供などです。要は近所の助け合いです。行政ベースでは、生活再建支援として、仮設住宅の設置、民家の修理費用補助、道路などのインフラ修理などがあります。


Q:今日説明のあったリスクの概念は日本独自のものなのでしょうか?他の地震国ではどのようにとらえているのでしょうか?
A: リスクの概念は、世界共通のはずです。リスクを3軸で整理するのは私の独自のものです。分かりやすく整理されていると思うのですが、どうでしょう。


■第4講 防災政策論
前講において防災対策の主導レベル軸について触れました。まずは世の中の動きを理解しましょう。行政による公共的対策が防災政策です。政策が自然の脅威に対して十分に機能しているかと問われれば、犠牲者がいっこうに減らない現実に誰もがNOと答えるでしょう。なぜなのでしょうか。自然の持つ不確実性というルールが人間社会の経済原理に反するからなのです。地震は自然現象ですが、災害は自然現象と社会現象のからみあいで発生します。災害を単なる自然現象としてとらえていては不十分なのです。もちろん、災害を社会現象として受容するわけにもいきません。災害の各論に入る前に、我々の社会を動かしている経済学から災害と対策について見直してみましょう。
Pdf(防災政策論 460Kb)


Q:技術革新により不確実性が上がるという論理がよく分からなかったです。
A: 技術革新により、規模の小さな被害は発生しなくなりますが、滅多に起こらない大きな被害が極たまに発生するということになります。極たま、すなわち不確実性があがるということです。また技術革新と共に新たな見逃されやすい災害が出現してくる、という問題もあります。
Q:技術革新で不確実性が上がるのは分かったが、それと平行して安全性も向上する気がするので、発生規模の大きい災害が起きても耐えられるようになると思うのですが、どうなのでしょうか。
A: 技術革新により、確かに災害への安全性はあがります。しかし、同時に、大きな災害に対する不確実性は高まり、防災の市場性が低くなります。その結果として正常な市場経済のメリットが防災では働かなくなり、情報の非対称性による悪徳業者や法令違反が起こりやすくなる可能性が出てきます。また、市場性がなくなると、住民の興味もなくなり防災の意識が低くなり、それが防災の技術革新を富めてしまうというシナリオも描けます。


Q:防火帯を設けたり避難所を配置したりすること以外に、防災に根ざした都市計画とはどういうものか具体的に教えて下さい。また、都市計画の中で防災の要素を入れたときに、失われる利便性やデザイン性などがあれば教えて下さい。
A: 防災に根ざした都市計画としての主たるものは、地域地区指定による密度制限です。そのほか、耐火建築への建て替えに対する補助や、道路・公園等の基幹的な骨格軸(防災環境軸)の体系的・効果的な整備を図るといったことなどが挙げられます。また都市同士の支援協定、地域防災計画、ハザードマップの作成、危険地区の広報活動、災害に対する啓蒙活動なども防災計画に含まれます。密度制限により土地供給が制限されることが一番のデメリットかもしれません。デザイン性はむしろ現状では規制が足りなさすぎますね。


Q:防災をどのようにして市場原理に載せていくのか、具体的に知りたい。
A: 防災の話に限って言いますと、現在のように社会的価値観で持続可能性社会構造の思想がクール(かっこいい)選択であるという考え方が主流となれば、長寿命住宅の需要は自然と高くなり、それととともに住宅の長期耐震性も住宅の資産価値評価指標となり、耐震技術が市場原理に載ってくるということは防災への投資を必要とするという面では共存できると言えるでしょう。ただし、これは現在に限った話であり、今後の価値のパラダイムシフト如何では、市場メカニズムとは合致しないことになる可能性もあります。このような社会の意識の高まりを防災教育などにより積極的に高めていくことで、うまく市場原理に載せていくことも重要と言えるでしょう。


Q:住宅耐震改修促進法によって上限60万円の支給があるようですが、それによって耐震化促進に大きな効果はあったのか疑問に思いました。
A: 補助金額的にも、また耐震化の条件も、耐震化促進に十分効果的かというと疑問符が付くでしょう。しかし、このような政策はこれまで全くなかったのです。第一歩ということで、評価できると思います。
Q:個人資産に行政が介入することは憲法上の問題がある可能性があったとのことですが、どのような解釈でこの問題をクリアできたのですか。
A: 被災者生活再建支援法は、自力で生活しにくい被災者の生活を支援するという観点から住宅を喪失した世帯あるいは長期避難を余儀なくされた被災者に対し、生活再建のための資金を支給し得るという解釈をとっています。これまでは規制の大きかった再建支援ですが、2000年鳥取県西部地震で、当時の知事・片山善博さんが条例で実施し、前例を作ったことが大きく影響しています。また、住宅耐震改修促進法に関しては、安全性の低い住宅はそれを売却するとなると、社会の問題となるために行政の介入が正当化されます。これは建物の崩壊は救命救助や消火活動などを困難にしないようにするといった観点からの解釈をとっています。このため、適用される住宅は政府に定められた、地震により倒壊の危険性があり、また倒壊によって道路閉塞を生じさせ、避難や消火活動等を困難にさせる可能性のあるものに限定されています。


Q:防災意識を高めようとするメッセージを発信する建築はできるでしょうか。
A: メッセージは受け取る側の感受性にも影響されます。日本国民はあまりそのような負のメッセージを好みません。しかし、たとえば、神戸の防災博物館や淡路島の断層博物館は、その当時の様子(建物も含めて)をジオラマで残しています。また、講義で扱いますが、東京都江東区の白鬚団地は防災を前面に出した建物です。この質問に対して、修士1年の学生は次のような回答を用意してくれました。「一般には防災意識の啓発はポスターや教育などソフトの面によるものがほとんどだと思います。ただ、ハードの面においても実際に建築のプログラムや動線処理などによりそのようなメッセージを発信することも可能なのではないでしょうか。みなさんも考えてみてください。」これもよいヒントになると思います。


Q:地震保険というものもありますが、これは防災とは異なるものでしょうか。「防」ではなく事後対策なのでしょうか。
A: 良いところに気がつきましたね。地震保険は対策の一つですが、リスクを回避するものではありません。現実に起こってしまったリスク(おこってしまったものはリスクとは言いませんが)を、お金で補償するものです。これをリスク転化といいます。当研究室が目的とするのは、あくまでもリスク回避です。しかし、最近は、工学の領域においても、リスク転化をテーマとした研究が出てきています。


Q:[私]の防災が法律上では自己努力・個人責任においてのみの記載ということでしたが、他の先進国ではこのような防災の法律はどうなっているのでしょうか。
A:日本の法律は「私」については個人責任を強く打ち出していることは間違いがないのですが、これは公と私の防災上の役割分担を明確にしていることに他なりません。そこで質問に対する回答ですが、基本的にいわゆる先進国と呼ばれる国において、日本ほど防災についての制度が固められている国はそう多くありません。これは自然災害を受ける頻度に依るところが多いのですが、日本は飛び抜けて災害を受けた回数が多く、そうした経験から防災の政策、法律を定めています。その上で例を挙げますと、やはりアメリカが挙げられます。というのも、アメリカでは、フロリダやカリフォルニアという台風と地震の被害が起きる州が存在します。またアメリカにおける政府(FEMA)の役割は、資金の手当てと効率的な支援情報の提供であり、人命の保護や地域の復興は、自治体の役割になります。そのため、各州がしっかりと防災の政策を定めています。カリフォルニア州では「カリフォルニア州地震被害軽減計画」において研究・教育・既存建築物・住民への周知などに対するイニシアチブを定め、それを達成していくようになっています。


【2010年5月17日】
■第5講 災害の性格
前回、地震災害のインパクトについて触れました。インパクトは見えない被害で特徴づけられることもお話しました。その被害の内容と大きさはまた地域性によるところが極めて大きいのです。被害データをマクロ統計則に載せようとするとき、そのばらつきの大きな要因の一つが地域性なのです。地域性には自然としての地域性もありますが、社会的地域性も含んでいます。したがって、災害対策は地方分権で進める方がやりやすいのは当然なのです。しかし災害に理解の深い首長の元での話です。まずは、災害の地域性を理解しましょう。
Pdf(災害の性格 954Kb)


Q:防災におけるRiskの平等化とは具体的にどのようなことがあるのでしょうか。
A: Riskを真に平等化することは不可能だと思います。社会主義世界を目指すことに等しいからです。解決できるかもしれない方向性として、Risk機会の平等化だと思っています。そのためにはある程度の公的介在は不可欠であることを、講義で説明しました。一つの例として、仕様設計と性能設計の例を挙げました。これは法的な措置(公的介入)ですが、耐震補強補助や生活再建支援も税金による個人Riskの軽減であり転化です。


Q:関東大震災後、“震災復興小公園”と称して52カ所、防災のためのオープンスペースが都に設けられましたが、専有や都市計画変更などで今や残ったのは1カ所だけだそうです。防災と資本主義は相容れないという講義を聴きましたが、政策も退化していくものがあるのでしょうか。それらはどの程度合理的は判断に基づいていると思いますか。
A: 政策は時代によって求められるものが違います。政策は法律が決め、法律は政治家が決め、政治家は民衆が選ぶものです。要は、国民が防災を要求するかどうかです。土地の規制(線引き)は住民からの要求により市街化調整区域が市街化区域に組み込まれている例が大都市には見られます。かつては危険と思われていた地域であり、環境保護に必要だった地域も、住宅地の不足から変更されてきたのです。その規制緩和が良い政策と見なされてきていたのです。都市のスプロール現象も,結局は住民の意思によるものなのです。何がよいことなのかを判断する基準・知識・価値・・・そのようなものを幼少期の時から学修する術を身につけておくことが必要だと思います。


Q:年代別災害の表において、年代によってかなり発生頻度に変化のある災害がありましたが、どのような要因から発生の多少が生まれるのでしょうか。
A:変化する災害とは、外的要因が大きく変化するもの(気候変動や低頻度大災害)・ライフスタイルの変化により災害の様相が変化してきたもの(人口の集中化・都市災害などに関わるもの)・依然として災害として認識が薄いもの(見えない災害・普段の生活に埋没されやすいもの・交通事故・日常災害・間接災害)があります。災害は技術革新で克服されるものもありますが、多くは環境により変化(というより進化)するものなのです。


Q:災害の地域性は不変的なものなのか。
A: 災害の地域性とは、集中的に襲われる地域があったり、災害を選択する地域があるなど地域により災害の発生形態が一律ではないことを意味しますが、災害には地域性があるのだという長年の経験から理解される現象です。よって、災害には地域性があると言うこと自体は普遍的経験則だと言えます。では、その地域がその災害(というよりも自然現象)に対して同じ災害現象を繰り返すのかというと、それは災害は進化するというもう一つの経験則から否定できます。災害は、人の営みにより進化するものなのです。


Q:地域ごとに災害対策をすることについて、デメリットはありますか。
A:質問に回答する前に地域ごとに災害対策をすることのメリットは分かりますか。デメリットは、自治体によって災害対策に格差が出ることです。自治体の首長がどれだけ先見性があるかに係ってきます。首長が変わるたびに防災対策も見直しができるということでは、ふとワークの軽い臨機応変な対策が可能かも知れませんが、一方で住民の命をそのような短兵急な一か八かの政策に任せることが、良いことなのか、悪いことなのか、難しいところです。


Q:日本の場合、外国人滞在者も災害弱者に含まれるのではないか。言葉などの壁によって地域となじむ機会が少ないと思う。
A: 外国人に対する考えは、いい着目点ですね。外国人は災害弱者であると同時に、災害に不慣れと言うことがあるので新たな災害発火点ともなりかねないのです。今後、在日外国人が増えていくことが予想されていますし、この対策はとても大切です。在日ブラジル人の多い浜松市では、災害時の為のパンフレットを配っていますが、災害時に、どう救助の手を差し伸べるかまで対策に盛り込んでほしいと思います。


Q:イタリアにも組積造の壁が多く、ラクイラ地震でたくさん崩れていましたが、イランでは国家ぐるみで組積造の建物を強化することはできないのでしょうか。
A: 建築は耐震基準だけで建つものではないのです。やはり国民が選択するから建物が建つのです。そこには伝統や生活習慣があります。それを無視して、RCの家を作れといっても受け入れられません。土や石の家が未だに作られるのには理由があるのです。


Q:日本が海外に地震対策の指導を行うことに、日本の人材はどれほど必要とされているのでしょうか。
A: 日本の防災技術は世界各国から期待されています。しかし、災害対策に世界共通があるわけではなく、地域で対応するものであり、その国独自の政策・生活習慣を理解した上で、技術供与・人材育成を図る必要があります。日本の技術をそのまま輸出しても、国によっては高度すぎて受け入れられないということが発生します。
 数字を挙げるのは難しいため、具体的に、行っている支援を挙げたいと思います。
 まず、JICAは地震災害対策救助指導や都市防災計画担当などの派遣を行っています。ただし、人数は少数です。また、1999年はトルコと台湾に大地震が立て続けに発生しました。この時、兵庫県はそれらの地震に対しての支援の一つとして仮設住宅をそれぞれ2500戸、1000戸提供しています。さらに仮設住宅を送るだけでなく、その建設の指導に当る職員も派遣しています。さらに応急危険度判定システムを指導するための職員の派遣、住宅、衛生、教育、ボランティアなど震災復旧,復興の助言を行うミッションを派遣しています。中国で発生したブン川大地震では都市復興計画に協力しています。


Q:どのような国が地震に弱いかというとき、地震入力の大きな国とありましたが、地震が基本的にない国より地震被害のある国の方が何らかの対策ができているという意味で、地震に強い国と言えないでしょうか。
A: そうですね。災害入力のある国は、災害に対して敏感になっているはずです。そこで、そのノウ・ハウを違う政策にも応用できるかもしれません。かわいい子には旅をさせろ、とか、若い頃の苦労は買ってでも体験しろ、という金言はそのことに通じるものがあるのでしょう。厳しい環境こそ文化・文明が発展するのは、温暖な気候に恵まれた土地(国)に住む人よりも、寒冷地に住む人たちの方が生活することに工夫を必要とするからなのでしょう。
ただし、本日述べた3要因(「入力の地域性」において地震入力の大きな国、「風土の東西問題」において住居材料が石や土、「生活の南北問題」において耐震工法に余裕のない国)のうちの第3の要因は、対策が実を結んでいる(災害から教訓を得て、それを克服する技術を発展させ、その技術を次の世代に受け継ぐ教育システムが整っている)国の条件を述べたものでしたので、あなたの言うことは3番目の要因に含まれていると思うのですが。


Q:質問というよりは、講義が理解できているかの確認です。人の命を多数奪うような災害は、そこまで頻繁に起こらないが立て続けに起きたり、集中して起こったりする。対策が可能な災害に対しては、減災が進んできているが、地震は様々な問題によりなかなか被害を受ける人は減らない。それは地震が起こりやすい地域であるか・住居の材料・構法が耐震の面でどうか・経済力の違いなどにより生命危険性の高い国となる。命を落とさないような防災を全ての人が受けられるように公共事業で対策すべき・・・という流れで正しいですか。
A:私の講義は私の理解を述べているので、それで全てですという気持ちは些かもありません。上に記載されていることは、私がお話ししたことであり、良く話を聞いていてくれたと驚いているくらいです。それで現状理解がすっきりとし、次なる課題が見えてくればさらにうれしいなと思います。頭の中に理解の軸が構築できれば、世の中がもう少し見えてくると思います。ちょっと賢くなったかなと、実感してもらえれば最高です。自分なりの理解軸を作って下さい。


■第6講 地震学の基礎
地震を災害現象ではなく自然現象として眺めてみましょう。そこには多くの法則が認められます。その法則を使えば地震対策の一助となるのは間違いありません。どのような使い方があるでしょうか。自然現象の地震を学びましょう。
Pdf(地震の基礎 826Kb)


Q:縦断層は動き方が正と逆の2つがありましたが、その地震ごとに動きが逆転することはないでしょうか。
A: 断層というものはプレートの沈み込みによって応力がかかって生じた亀裂を境に,すべりが生じることで生成するものです.その断層が発生する場が受ける力の方向は一定(正断層なら水平方向に引張応力,逆断層なら水平方向に圧縮応力)であるため,断層のずれが逆になることはありません.


Q:日本よりもアメリカなど海外の方が断層の被害を良く聞く気がするのですが、地震の多さとは比例しないものなのでしょうか。
A: 質問は、断層が明らかとなる被害が多いと言うことを言っているのでしょうか。それとも、地震の被害は外国が多いということを言っているのでしょうか。地震は断層が動いて発生するものなので、地震被害は全て断層による被害です。被害は地震の多さとは比例しません。いつも私が書く・・・Risk =・・・の式を思い出して下さい。地震発生の多さはその式ではSeismicityを指しています。SeismicityだけでRisk(被害)は決まりません。


Q:地震がいつ起こるのか、その精度を高めるためにはこれから何が必要になるのか気になった。
A: 確認されている断層毎に正確なデータを得ることだと思います.地盤や断層の研究により,地震発生時期の正確な予測というものは極めて不可能に近いですが,確率論的に今後いくらかの期間の間に一定以上の震度の揺れに見舞われる確率がどれくらいかといった数値は求められています.また起こるであろう地震による被害を予測することで被害を小さくすることが重要になると考えられます.もう一つ重要なことは、地震を予知することだけが対策ではないと言うことです。地震が来ても大きな被害とならないような減災対策(発災対応型対策)も重要なのです。最近の防災学は、こちらの方がむしろ対策としての効果は高いという考え方が主流です。


Q:Dip slipの圧縮による断層の動きですが、図のような力が加わると、



     圧縮力→        ←圧縮力



aの上側のプレートが上がる。よって上盤側のプレートに集落形成は避けた方がよいということでしたが、実際にはbのプレートも少し沈み込むこともあるのではないでしょうか。上盤にも重量があるので押し上げられるときに下盤プレートに重さがかかり沈み込むようなイメージですが。
A: どちらが動きやすいかを考えてみれば明らかでしょう。空中に拘束はありません(aの上載圧<bの下にある抵抗力)ので、aが上にずれる動きが卓越することになるでしょう。


Q:断層形状の違いによる対策として3つ挙げられていましたが、実際に日本でそのようなことを考えて建物は建てれらていますか。
A: 現時点では 一般にはそこまで細かく断層形状の違いまでは考慮されません.ただし,重要構造物(原子力発電所など)の耐震設計には断層の形状や断層面の位置を設定した震源モデルを組んで耐震設計されます.


Q:断層位置を意識した集落形成は、実際に効率よく実現できていますか。
A: 日本ではアメリカのカリフォルニア州にある断層法と同様の法律を定めるような動きはこれまでに何度か起こってきましたが,日本の利用可能な土地の狭さや土地価格の高さ,既成市街地があり建築規制が困難である,活断層の周期が長いため経済的な犠牲を払ってまで規制をすることが困難である,といった理由から,土地利用規制につながる法律の制定は現実的でないとして,公共性の高い建築,主要ライフライン以外では安全性の確認はあまり行われてきていません.ただし,日本でも兵庫県西宮市や神奈川県横須賀市などにおいて,活断層を考慮した建築指導等を行っている自治体も存在します.また,動きが確認されている断層だけでも約2,000あるといわれており,これらは活断層と呼ばれて活断層マップとして公表されています.


Q:現在の技術とその限界は。
A:思わぬ質問が出てくるものです。私の講義を聴いていて思い浮かんだ質問でしょうか。
何を求めるかその目標値の設定が限界を作るのです。そして、その限界を人間は次なる目標としてきました。それが技術の進歩を生むのです。自分の能力も同じだと思いますよ。


2010年5月24日
■第7講 確率論的地震動予測と構造設計概論
今回から地震動入力の話が続きます。地震動入力(Hazard)は震源と伝播経路と地盤増幅が関わりますのでそれらの解説も含みます。まずは確率論的に地震動入力を扱う方法を学びましょう。これは建築の構造設計の地震荷重の考え方に繋がります。復習も兼ねて構造設計の概論もお話しします。その荷重の扱いにおいて、地震学の考え方がどのように持ち込まれているかを理解してください。
Pdf(確率論的地震動予測 317Kb)
Pdf(耐震技術発達史 104Kb)


Q:グーテンベルグ・リヒター式でb値が大地震発生地域や小地震多発地域で様々な値をとるのは分かったが、どのくらい細かい地域区分をされているのか気になった。都道府県規模の大きさなのか、それとも地区レベルの細かさなのか知りたいです。
A: b値は、経験則によって決まる係数の為、地域における地震の種類や統計期間によっても影響してきます。地域区分としては、観測点ごとの調査となります。どのくらいの細かさと問われると難しい問題となりますが、おおよそ日本周辺では緯度経度で5°くらいのグリッドで地域区分した解析例があります。


Q:石本・飯田式は日本だけではなく、世界でも使われているのでしょうか。
A:石本・飯田式とは観測点のハザードの経験的統計式ですが、講義で示したようにサイスミシティの経験式であるグーテンベルグ・リヒター式から理論的に導出することが可能です。概念としてはそれほど難しいものではないので、ハザード評価は多くは石本-飯田と同様の考え方に沿っています。具体的に数値を入れての計算では,その国独自の式が提案されています。


Q:河角マップは結構古いもので、それを参考に地域係数を決めているとおっしゃっていましたたが、もっと正確なマップというものはないのですか
A: ハザードマップ(確率論的地震動マップ)の基本的考え方(石本・飯田の式)を基に実際に日本でマップとして示したのが,河角マップです。それ以降にもデータを新しくして改訂版が出ていますが、データを新しくしてもマップの形はそれほど大きく変化はしていません。


Q:震度法と層剪断力法とでは、層剪断力法の方が県産は単純なように見えますが、精度的にはどうなのでしょうか。
A: 層剪断法は、震度法(地震力を静的水平力に置き換える方法)から出発し計算しやすいように式を変形しただけのことですから、県産方が単純に見えて当然です。力学的には震度法(各質点に慣性力が働く)の方が考えやすいでしょう。層剪断力法は各層(柱)に加わる力を手続き的に簡単に計算できるように式を変形したものです。基本的考え方は同じなので、精度は同じです。


Q:構造物への地震荷重は[基準値]×[地域係数]×[地盤特性]×[建物振動特性]ということでしたが、基準値はどうやって決まったのでしょうか。
A:許容応力度設計における地震加重の考え方です。基準値は建物重量に震度Kを掛けて求めますが、当初はk=0.1でした。その後、福井地震など大きな地震を経験し0.2に改められました。基準値は経験によるところが大きいのです。


【2010年5月31日】
■第8講 確定論的地震動予測
Hazardのもう一つの評価法である確定論的地震動予測の話です。別名、強震動地震学(地震工学の最先端)とも言われています。地震動を断層力学から再現する試みは古くよりありましたが、現有建物に強く影響する短周期の地震動を再現することは難しいことでした。短周期地震動は複雑な動きであるため、確率過程で扱うことが多かったのです。それが地震計の高密度配置のおかげで多くの地震記録を得ることができるようになりました。その結果、様々なモデル提案が可能となったのです。第6講でお話しした地震の基礎的メカニズムの上位レベルの内容です。
Pdf(確定論的地震動予測 977Kb)
Pdf(岡田・戸松論文 917Kb)


Q:点震源の考え方はこの先も使われているのでしょうか.計算技術の発展と共になくなっていくのでしょうか。
A: どのようなことに応用するかによります。点震源は簡単なモデルですが、それゆえに簡便に地震動計算を実施したい場合(とくにリアルタイムで処理しなければならない場合)や遠距離における震源位置を特定する場合にはこのモデルが使用されます。まだまだ捨てたものではありません。


Q:震源からの距離と振幅の大きさにはかなりばらつきがあるようでしたが、距離減衰式という式を出すことに意味はあるのですか。
Aある距離を地震波が伝播することでエネルギーを逸散させ振幅が小さくなるのは物理現象ですので、:距離減衰という考え方自体はなくなりません。ただそれを距離減衰式という1本の式で表現するのは一つのモデル(考え方)ですので、現象を単純化していることは事実です。将来的にはもっと精度の高いモデル化が出現するものと思われますが、現時点での単純化でもある程度の地震動予測が可能なのですから、その意義は大きいと言えましょう。


【2010年6月21日】
■第9講 地盤増幅
Hazardに影響する震源問題と伝播経路問題を終了しました。残るもう一つの地盤増幅の問題です。軟弱地盤とよく言います。軟弱とはどういうことでしょうか。ただ単に軟弱だから問題だというわけではありません。比が問題なのです。その仕組みを理解してください。
 Pdf(地盤増幅 609Kb)



【2010年6月28日】
■第10講 単体と集団のリスク制御
Hazardの評価法を学んだところで、次はリスク(被害)評価に入ります。この講義は所謂、構造物の耐震設計に相当しますが、防災は構造物のみが被災対象ではありません。耐震設計に必要な情報は荷重です。これはHazardから評価されます。都市防災に必要な情報は対象物の終局状態及びその地域内分布です。それらはHazardから評価されます。Hazard(地震動)とRisk(被害)をつなげるのが一般論的にはVulnerability関数といわれるものですが、耐震設計の場合は「荷重-変形曲線」で、都市防災の場合は「被害率曲線」で表します。最近は、都市防災にも個の情報として「損傷度関数」が提案されています。これらの関係を周辺の学習(構造力学、耐震設計)とも関連づけて、包括的に理解することが大切です。
Pdf(単体のリスク制御 1.7Mb)
Pdf(集団のリスク制御 1.7Mb)


【2010年7月5日】
前回の残り(集団のリスク制御)を講義しますので、配付資料を忘れないように。

■第11講 都市防災の基礎
日本の都市防災は火災対策から始まりました。しかしこれは、都市を守ると言うよりも、お城を火災から守ることが主目的でした。本格的な都市防災は、関東大震災の発生まで待たねばなりませんでした。

都市行政と防災との歴史をたどり、都市防災の考え方を学びましょう。
Pdf(都市防災の基礎 169Kb)


【2010年7月12日】
前回の残り(都市防災の基礎)を講義しますので、配付資料を忘れないように。
PPTを写しきれなかったと思いますので、災害と都市防災の年表をアップしておきます。
Pdf(災害史ダイジェスト 13Kb)

■第12講 建物火災と避難
建物火災は悲劇を生みます。個人の不注意と建物の火災延焼環境とが重なったとき、その責任は誰にあると考えますか。我が国での最大火災事故・千日ビル火災を例に考えてみましょう。
Pdf(ビル火災の恐怖 640Kb)
9.11を境に高層ビルの全館避難の重要性が見直されてきています。しかし、全館避難など可能なのでしょうか。超高層ビルの避難計画について考えてみましょう。
Pdf(高層階からの避難 890Kb)



【2010年7月26日】
■ 第13講 個人防災
本講義の第3回目に行政の支援が及ばぬ時間帯のお話をしました。そこは個人ががんばらねばならない防災領域(自助)なのですが、自助をサポートするための防災技術が提供されているかというと、不十分と言わざるを得ません。それなのに自助を強調されても一般住民は困ってしまいます。本研究室の研究テーマの一つは、そこを防災のNitchと考え研究的に踏み込むことです。ユビキタス社会を見据えたこれからの新しい防災のお話をしましょう。
Pdf(死者の話 2.6Mb)
Pdf(負傷者の話 2.4Mb)

最後は急ぎ足となってしまいましたが、講義はここまでとします。8月3日に期末試験を予定しています。


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