2015年度版 地震工学テキストダウンロードサイド

講義資料をこのサイトから配布します。各自ダウンロードし、講義に持参のこと。
その他、休講案内などもこのサイトを使いますので、逐次チェックのこと。
学生からの質問には原則当研究室の修士1年学生が回答しています。必要がある場合に、教員がその回答に補足修正をします。

PDFでの配信は終了しました。

What’s New
◆8月10日
地震工学と同演習の成績発表。
◆8月5日
第1回成績発表。
第11回質問票を返却します。
◆7月22日
第13回最終講義資料(人的被害)をアップしました。
◆7月8日
第12回講義資料(火災の話)をアップしました。
◆7月2日
第11回講義資料(都市防災の基礎)をアップしました。
◆6月25日
第10回講義資料(リスク制御)をアップしました。
◆6月15日
第9回講義資料(地盤増幅)をアップしました。
◆6月11日
第8回講義資料(確定論的地震動予測)をアップしました。
◆6月3日
第7回講義資料(確率論的地震動予測)をアップしました。
◆5月21日
第6回講義資料(地震の基礎)をアップしました。
◆5月13日
第5回講義資料(災害の性格)をアップしました。
◆5月1日
第2回の学生の質問に対する回答(Q&A)をアップしました。
◆4月24日
第3回講義資料をアップしました。
◆4月15日
第1回と第2回講義資料をアップしました。


【2015年4月8日】
■第1回 導入
参考図書と研究者の書棚を紹介しました。配布資料を以下にアップしておきます。
PDF(350KB)


【2015年4月20日】
■ 第2回 工学の倫理綱領
工学と他の学問との違いを理解してください。工学は何を求める学問でしょうか。その目的と方法論に災害を生む要素が隠されていることを理解してください。それを理解した上で、あなたは何を倫理綱領として行動の意思決定を行うべきか、考えてみましょう。
PDF(3.2MB)

学生からはなかなか良い質問が寄せられました。難問続出のようです。そのために修士学生からのそれに対する回答に、少々時間を要しました。回答は少し待って下さい。次回も、難問を期待します。

学生からの代表的な質問を以下に掲載します。Q&Aから理解は深まります。まず一番多かった質問から。
Q:それぞれの学問の立ち位置から理解することは他の講義では殆どないことなので、興味深い講義だった。それぞれの分野の目的は理解できたが、最終的には(社会の)問題解決に向かっているのではないか。それは工学と同じ目的ではないのか。(くた君他、いた君、おゆ君、こな君、こも君、さほ君、まか君、まし君、みけ君、やあ君、わよ君から)
A:(岡田)工学を理系と文系に分ける意味はどこにあるのかという質問ですね。皆さんには以下のように回答しました。
講義を聴いて既に感じていると思うが、私が言いたいことは、理系Vs.文系、工学Vs.〇〇学のように、領域を分けることにあまり意味はないと言うことです。講義の最初に皆さんに質問した「理系と文系に関する質問」と逆説的ですが、その質問にまじめに答えようとするほど答えが見つからなくなっていくと思います。それは、学問を分類することにどれほどの意味があるのだろうか、ということに気づいてもらいたかったからです。
 人それぞれに興味の持ち方は異なると思います。それが、文系Vs.理系、工学Vs.〇〇学という対立モードで考えがちになるのだと思いますが、その既定概念にとらわれてはいけないと言うことですね。現象は全てシームレス。このように捉えることが、重要だと思うのです。それで講義の中での私の主張として、一般には理系と思われている工学に、文系という冠をあえてかぶせてみたと言うことです。
 ただ、物事を対立させて比較することは面白い方法論ですよね。イメージを固定化してラベリングするのはあまりよろしくない行為ですが、まず分かりやすく理解するという点において一日の長がある方法だとは思っています。


日本の建築がなぜ工学部に属しているのだろうかという質問もありました。
Q:なぜ日本では建築学会が理系で、なおかつ工学部に所属していることが多いのですか(おな君、こや君)
A:(M1学生いあ)海外において建築はArtのような位置づけにあることが多いです。一方、日本においては建築は古くから大工という専門職があるように、ArtではなくEngineerの分野で発展してきました。 近年の日本の建築が工学に属する理由の一つとして、戦後日本の一般庶民の生活環境レベルの底上げがあります。一般庶民の居住環境の確保(庶民の住居的幸福追求)のために目標設定をし、標準規定・水準を定めることによって、技術があればどのような設計者でも庶民にとっての便宜を保った建物が建てられるようになりました。 このように、日本の建築は、人々の(住居的)幸福を確保するための便宜を与えることが根幹となっているから工学に属していると考えられます。

(M1学生きま)日本と海外の建築はArtかEngineeringかで大きく異なると思います。日本は戦後、被災後の復興の度に発展を遂げてきています。それは建築も同様で、復興の度に建築基準法はより厳しく変化していきました。この成長のサイクルの中にある建築は人のためのものであるという工学の位置づけを強くしているのではないかと思います。これは諸外国の地震頻度の多い地域でも同じことが言える(チリなど)。

(岡田)日本の建築教育が世界(特に欧米)と違うという点がまさしく、建築が工学に属していることなのです。日本においては建築は技術士という免許を持たなくては、実際の建設プロジェクトに参加できません。日本は建築士の技能として構造と計画と設備の知識を求めているのです。これをホーリスティック教育と言います。この考え方が今、グローバル化で否定されつつあります。日本の建築教育では世界で仕事をさせないという流れができつつあります。それは意匠設計と構造設計と設備設計を分業するというものです。この流れにあなたは賛同できますか?


Q:これからの建築に携わる人間として、社会のルールをしっかり理解し、自分なりの行動理念の下に責任ある行動ができるようになりたいと思った。
A:(M1学生いあ)とてもよい心がけだと思います。 自分なりの行動理念を得るのは簡単ではないと思います。これから先生きて行く上で経験や知識が増えることによって、また、社会のルールの変化によって、行動理念も次第に変化していくものかもしれません。私自身もまだ自分の行動理念として確固たる信念を持てている自信がありません。工学という学問を通じて常に自問自答していく姿勢を大事にしていきたいですね。

(岡田)良い心がけなのですが、本心でしょうか。学生さんが、あまりに素直な反応なので、驚いています。建築の歴史(西洋史)を学んでどう思ったでしょうか。建築は同時代の建築物を批判して、次なる建築の潮流を作ってきました。批判する目は、少なくとも批評する目は建築にとってとても大切な素養です。


Q:物理や化学などの純粋科学を利用して、人間の幸福追求である工学を作り出すことは分かりました。しかし、幸福追求が人間である以上、客観的データを使っても少しでもその人の考えが入ってしまえば、偏った考えの部分が出ると思います。工学の人が人間のために考える部分はどうやって決められるのでしょうか。建築学科に入り課題を行っていると、数学のように絶対的な答えがあるわけではないので、いつも時間で区切って終わらせることになってしまいます。人間の幸福のために考えるという点で、建築というのは工学の一つなのだと身をもって感じました。(あみ君)
A:(M1学生いあ) 「幸福追求に際して、人間の偏った考えが入り込んでしまう余地があるのではないか」といった疑問についてですが、幸福というものが人によって異なるものなのでそうなることは十分に考えられると思います。そのような偏った考えが入るのが良くないという考えから、幸福感について客観的に論じる手段として様々な要素の合計によって幸福度を測ろうとする方法が出てきたのだと感じます。(Better Life Index参照)
 しかしながら、このような客観的な方法によって得られる幸福は「最大多数の最大幸福」を善しとするものなので、少数派の幸福を蔑ろにしてしまう恐れがあります。今後工学を学んでいく上でその点を理解した上で、このような矛盾をどのように解決していくかを自問していくことも学問として工学を学ぶということなのではないでしょうか。

(岡田)人間は何のために生きているの・・・等々、人間永遠のテーマです。絶対的回答は今のところありません。でも、これだけは言えると思います。そのようなことを考えたことがある人と、考えないで生きてきた人とでは、生き方の深みが違うと言うこと。答えのない問題に自分なりに考えた体験を持ったことがある人は、何か問題が起こったときに解決のための行動を自分なりに考える可能性は高いようです。自分のこれからの一生の仕事の持つ意味を考えてみて下さい。


Q:トレードオフの説明のところで、「人が増えると犯罪が増える」とありましたが、大都会よりも少し外れたところ(夜になると人通りが殆どないような所)の方が、犯罪は多いようなイメージがあります。犯罪の多さと人口密集とは比例するのでしょうか(すな君)
A:(M1学生きま)今回の講義内容で挙げた河角式は、被害地震の統計を基に被害建物数と死者数の関係を示しています。しかし、建物の被害数と死者数は直接の因果関係はなく、精度も難を残しています。建物の倒壊数という広域な捉え方は推定に誤差を生み出す要因といえます。犯罪も同様に、既往研究として人口密集と犯罪の関係を都道府県単位で検討した論文1)や日本の人口推移、年齢構成と犯罪の関連性を検討した論文2)等があります。以上の論文の他にも様々な観点から犯罪との関連性を議論した論文が報告されています。人口の多さも一要因と考えられますが、見かけの因果関係に過ぎないと考えられます。
◆参考文献◆
1)小俣謙二, 犯罪発生要因に関する環境心理学的研究 : 研究の概観と都道府県単位での人口密集と犯罪の関連の検討, 名古屋文理短期大学紀要 23, 41-51, 1998-04-01
2)松本良夫, 日本の人口変動と犯罪, 犯罪社会学研究 (31), 101-115, 2006-10-18

(岡田)M1学生がよく調べてくれましたね。犯罪と人口との関係は直接的因果関係と言うよりは、M1学生の指摘のとおり次の解釈をすべきなのでしょう。人口が増えると犯罪率も増えると言うよりは、犯罪率は一定なので人口が増えると犯罪も増えるという、見かけの因果関係なのかもしれません。ここで私が言いたかったことは人口集中により、量的変化と質的変化の両面で問題が拡大すると言うことでした。見かけの因果関係は量的変化に入るべき内容です。但し、人の質も正規分布するので、極端な悪質犯罪者も人口が集中するとそこにいる可能性は高いと思います。これは極値問題で議論すべきことですが、極値は大数の法則で発生するというのは質的問題に位置づけられるのかもしれませんね。


Q:悪構造問題やシステムの相互矛盾などの問題点がとのように災害問題に結びつくのか、気になる点である。(ほじ君)
A:(M1学生きま)悪構造問題は現状や目的が不明確なために、適切なシステムを設けることができない状態にある。防災学的観点からすると、災害において何が(人命か、財産か)どれぐらいの規模の損害を受けたときに問題視されるかが不明確であり、その問題に対して、どこまで対策を設けることがゴールとなりうるかが、明言できない場合にある。これは、被災時の被害を完璧に防ぐことができない、個々人によって被害の捉え方が異なるためである。

(岡田)M1学生の回答のとおりですが、もうひとつ、ゴールが見えない問題は災害も見え隠れしてしまいます。問題の境界が明確化されないため、定式解ではないシステムズアプローチ的方法論に頼ることになります。物事が複雑化するほどに安全性がきわどいものになっていくのは、社会学者の言う「構造災」を生む土壌が醸成されていることを意味します。問題の対象・方法論共に災害を見落とす構造になっていると言うことです。


Q:安全と美化の関係のグラフがあったと思うが、極端な2つの家(安全だけどダサい家、イケイケだけど壊れそう)があったら、どっちに住みますか?私は絶対安全な方に住みます。(ふな君)
A:(M1学生きま)講義では、安全性と利便性を題材としてトレードオフの関係を示していました。トレードオフの関係が成り立つとしたならば、私は美化(意匠性)よりも安全性を重視します。ただ、安全性のみを追求すると究極、何もない四角い箱に住むこととかになりそうなので、安易にトレードオフの関係だけで答えを出すことはできません。設計を考える場合は、意匠性と安全性(その他の要素)も妥協のない建物を考えていく必要があります。なので、私は安全でいけいけな家に住みたいです。設計をする人は頑張ってください。

(岡田)両極端の2者択一なら、安全優先でしょう。しかし、M1学生の回答にもあるように、そのようなものは建築ではありません。土木構造物の類でしょう。バランスの良い建築を目指して下さい。


Q:工学部ですが、数学、物理が苦手です。
でも勉強するのは好きです。この2つに関するおすすめの本があれば教えて欲しいです。(いゆ君)
A:(M1学生いあ) 工学部において、数学や物理は問題解決のためのツールです。なので「自分がこれから行う研究や勉強において、数学や物理のどういった知識が必要なのか」といったことを知ることが、数学や物理を使いこなせるようになるための第一歩ではないかと感じます。
 勉強するのは好きということなので、何か興味のある現象や題目についての読み物を読むと良いのかもしれません。参考程度に以下に挙げるのは私が高校時代に友人に紹介されて読んだものです。ファインマンに関しては、当時書店などでも話題になっていたのでわくわくしながら読んだ記憶があります。また基礎物理学シリーズは表紙がかっこいい!という理由で買ったものですが、説明もしっかりしていましたよ。数学に関しては一時期話題になっていた数学ガールなども数学に慣れ親しむには良いかと思います。私自身、如何に楽しいと思いながら読み進められるかを大事にしているので、自分の興味があるものに関連した本や、書店で「面白そう!」や「かっこいい」と思った本を手に取ってみると良いと思いますよ。

・「ファインマン物理学」を読む シリーズ / 竹内薫 著 / 講談社
・講談社基礎物理学シリーズ / 二宮正夫 著 / 講談社
・数学ガール / 結城浩 / ソフトバンククリエイティブ

あと、数学とは少し違うかもしれませんが、最近読んでいる統計の本も面白いので紹介しておきますね。
・統計学が最強の学問である / 西内啓 / ダイヤモンド社

(岡田)数物系が苦手というのは、勉強してきたどこかの段階でつまずいたからなのでしょう。実は、そういう人ほど創造的なことをやってのけているという指摘があります。理解力が早い人、いわゆる「早わかり」という人は、引っかかるところがなく理解できてしまうので、自分なりに深く追求することがないというのです。分からないことは創造的才能だと言えます。 


Q:行動理念は時と状況によって変わりますか。それともどの時代も変わらない強い芯のようなものが必要ですか。(さま君)
A:(M1学生むま)経済成長期は発展のみに重きを置いていた生産業が,環境問題が浮き彫りになったために,今では地球環境にもウェイトを置いているというような例もあり,行動理念は時代や環境とともに移ろっていくものだと思います.確固たる行動理念を掲げて動くことは素晴らしいことだと思いますが,時代や新しい知見に合わせて見直していくことが重要です.

(岡田)個別具体的な問題に対する行動理念は、時代と共にまた置かれた環境によって変化することはあると思います。しかし、自分の経験から身についたもう少し上位で抽象的な(あるいは形而上的)理念についてはある程度の普遍性を持っていると思います。それとも、これだけは理屈では言えないけれど受け入れられないとか引けないという自分の依って立つ感性は、皆さん持っていると思います。それこそが自分自身なのだと思います。そのことを普段の生活の中でも意識してみてはどうでしょうか。少し面倒くさい人間だと思われるのがいやなら、何かを考える際に、自分の依って立つものを思い起こすだけでも良いですよ。


Q:工学と一言で片付けてしまえるほど工学というものは簡単なものではなく、ただ俗称として工学という言葉を当てはめているのだと思う。人それぞれその意味は変わり、目的が変わり、接し方が変わるもので、それぞれがそれぞれの角度から解き進めていくものだと思う。なので今現在工学について理解できているかと言われれば、してはいないし、未だに自分がどう向き合っていけば良いかさえ怪しいところだと思う。しかし、今回の講義により不明瞭であることがはっきりと分かったおかげでわずかながら道が見えてきた気がします。なのでいつか自分の倫理綱領は見つけられると思うし、絶対見つけると決意しました。(てゆ君)
A:(M1学生むま)この講義やほかの講義を受けるに連れ,工学の倫理綱領について自分なりにだんだんわかるようになると思いますので,根底にそのような心構えを持ちつつ力まずにいればよいかと思います

(岡田)おっしゃるとおり一言で片付けられるほど、世の中簡単ではありません。ただ、このように単純化して物事を抽象化する訓練も重要なのだと言うことです。結論や解が同じだったとしても、一般化や抽象化のプロセスを経由した結論や解は、より広い視野を提供してくれることでしょう。自分の行動理念を考えるときも同じです。今の場においての行動理念と建築という場に身を置いての行動理念と、工学という立場からの行動理念、さらにより広い立場からの行動理念、仮に解が同じところに収束したとしても、そこに至る段階でより深い思索を経験するでしょう。


Q:物事が因果関係で成り立ちモデル化することで理解できてくることが多くあると言うことは納得できますが、因果だけが結果を決定づけているのでしょうか。有機的なものに近づけば近づくほど、そのような関係というものは曖昧なものとなって行くような気がします。モデル化自体に縛られることも時に危険であると感じました。(はし君)
A:(M1学生むま)有機的なものこそ,複雑なその因果関係をはっきりさせてモデル化することが理解を進めるのに重要です.モデル化された機構をどこにでも当てはめようとするのは確かに危険ですが,どのモデルにも適用範囲・条件があるので,どのようなモデルかを理解し,それを超えないように使用すれば,「予想外」の事態は軽減されるはずです.

(岡田)講義の中で触れた構造災が、まさしく複雑化・有機的システム化の結果として発生する「システムに内在する構造的災害」のことですが、因果関係が分かり難くなっているから見逃す災害のことなのです。世の中必ず、原因があって結果があります。「君との結婚は運命で決まっていた。」と言う人もいますが、リップサービスでしょう。量子論は直接的因果関係で物事の発生が決まるのではなく、確率論がそこに入ってきますが、それも確率的因果関係でモデル化できます。曖昧さをどのようにモデル化するか、実は今一番ホットな話題でもあります。


Q:工学によって災害は起こるとの説明でしたが、災害を防ぐためにもまた工学を利用します。これをくり返しながら最終的にどのようになるでしょうか。(ぱじ君)
A:(M1学生むま)「工学による災害」を含め,社会問題の解決のために工学が存在します.災害が0になることはないと思いますが,社会の改善に向かい対策されるはずなので,減災・発生スパンの長期化などで災害による影響はすくなくなってくるのではないかと思います.

(岡田)工学の目的は災害を食い止めるだけにあるわけではないので、工学的対策が,実は次なる災害を生むことに繋がっていたと言うことも考えられます。難しい問題ですね。しかし人類は、こうやって数々の難問をクリアしてきたのです。人類の知恵に期待しましょう。


Q:地震工学の授業でベンサムの最大多数の最大幸福の話が聞けるとおもってなくてびっくりしましたが、楽しかったです。(ふし君)
A:(M1学生むま)最大多数の最大幸福は工学を考えるにおいて対象を設定するときの基本的な考え方のひとつになると思います.

(岡田)ベンサムは知っていましたか?ロールズはどうでしょう。今はやりのピケティは?工学は現実問題と深く関わっていますので、政治や経済も身近な学問として常に意識しておきましょう。


【2015年4月27日】
■第3回 地震防災管理論_防災私論
地震防災はどのように考えるべきなのでしょうか。考え方を岡田流に整理して提示します。前回提示した技術者倫理に則り、どのように防災計画を組み立てていくべきか、その全体的骨格を理解して下さい。具体策は次回以降になります。まずは防災の概念・哲学を理解しましょう。
PDF(6MB)

原発と交通事故のリスク比較が巷で大論争。村上春樹の回答を切る!
雑誌・週刊現代に掲載の記事から考えてみましょう。ツッコミ所が満載の記事です。
PDF(1.4MB )


【2015年5月11日】
■第4回 前回の続き
前回はPCAGステップのP(認識)について講義しました。残りのCAGについては、残りの講義全体でお話しします。まず、C(理解)の仕方を3軸で整理します。


【2015年5月18日】
■第5回 災害の性格
災害リスクは発生確率と被害程度の積で表現されるという説明をしてきました。この式は災害の様相すなわち対策方法について様々なことを教えてくれます。発生の仕方を今回学びましょう。本講義シリーズ第2回で、工学とは、また建築とは何を目指すべきものかについて、お話ししました。防災については私の考えを明確には述べてきませんでしたが、第3回~今回の講義で、災害の大凡の姿が見えてくることと思います。私の防災への回答を提示しますが、これは私の考え方であり、学生はそれぞれ自分なりの考え方を展開して下さい。講義は自分で考えるための参考情報の提供の場です。
PDF(1.8MB)

今回の講義の主たる内容を北海道建築指導センターのリポートに寄稿しましたので、参考にして下さい。
PDF(北海道建築指導センター、192,2015年春号)


【2015年5月25日】
■第6回 地震の基礎
5回の講義を通して、防災の理念についてお話ししました。日常語化した「防災」ですが、より深く考えるための視点を教示したつもりです。哲学書から週刊誌まで参考書として取り上げました。[防災]を軸としてそれらが広くかつ深く繋がって考えることのおもしろさを分かってもらえたら良いのですが。講義を受ける1カ月前に比べ、視野が広がったと感じられたでしょうか。講義を通して学んで欲しいことの一つは「防災学」ですが、これを題材として自分の興味を広げる方法論を掴んで欲しいと思います。
さて、今回から災害対象を地震に絞り込んでお話しします。地震のメカニズムは多くの識者がTVなどでおなじみ解説をしていますが、それを防災につなげるにはどうしたら良いか、この視点での解説はあまりなされていないように思います。地震の発生メカニズムが実は都市計画と繋がっている。工学者から地震を見ると理学者とは違う視点が明示できます。単なる教養番組とは違うお話しです。
PDF(930KB)


【2015年6月8日】
■第7回 確率論的地震動予測
本講義から、因果軸に沿って講義を進めます。前回、地震発生のメカニズムについて解説しました。今回は、その活動の活発さについて地震活動度(サイスミシティ)という視点からお話しします。地震学の話だけではありません。建築工学の最も基本となる耐震設計の考え方が、直接関わってきます。理学と工学を対比させながら、理学では説明しきれない扱いの難しい自然現象を工学はどのように料理しているかを学んで下さい。工学の巧みな整理方法に、どのような感想を持つでしょうか。賞賛それとも唖然?
PDF(312KB)


【2015年6月15日】
■第8回 確定論的地震動予測
第6回講義「地震の基礎」において、震源付近の場に加わる力の話をしました。今回は、それによって発生する断層面で何が起こっているかを解説します。断層面が動くことにより、波(地震波)が特有の性質を持って周囲に拡散していきます。その性質を防災(建築工学)の観点からどのように考えるべきなのか、それを理解して下さい。
PDF(2.4MB)

本講義の参考資料2篇は以下からダウンロードして下さい。
中嶋・岡田(2009 2.4MB)
岡田・戸松(2000 1MB)


【2015年6月22日】
■第9回 地盤増幅問題
ハザードの最終回です。わが国のお家芸とも言える地盤問題について解説します。いわゆる強震動はここまでを研究対象としています。
PDF(4,2MB)

札幌市の揺れ方についての論文です。
岡田・宮川・太田(1985 816KB)


【2015年6月29日】
■第10回 個と集団のリスク制御
ここから防災の解説になります。前回までに解説したハザードの仕組みを知ることで、工学的立場からの科学的防災論が展開できます。少し急ぎ足になりますが、単体構造物と集団を扱う地域防災の考え方(リスクマネジメント)を学びましょう。
  PDF(5.7MB)


【2015年7月6日】
■第11回 都市防災の基礎
耐震技術の歴史と都市防災の歴史について整理します。世相が色濃くわが国の建築と都市の形を決めていったことが理解できます。工学が人間社会と深く関わる学問であることが分かってきたでしょうか。この流れの先に、これからの日本の建築界があります。
 PDF(360KB)


【2015年7月13日】
■第12回 火災の話
火災には都市火災と建物火災があります。都市防災では都市延焼火災を扱いましたが、人が死ぬのは建物火災の方が断然多いのです。煙の恐ろしさとそれへの対策方法を学びましょう。
PDF(640KB)
高層ビルにおける避難問題
 PDF(890KB)


【2015年7月27日】
■第13回 人をまもる防災対策
本講義シリーズの最終回は、当研究室の最前線研究「人的被害:」について解説します。個人が最終的にまもるものは人の命であり、生活です。国の対策は建物を耐震化することと家具を固定することをキャンペーンする極めてシンプルなものです。そこに隠された問題点を明らかにし、あるべき対策を具体的に提案しています。
 PDF(死者の話 4.3MB)
 PDF(負傷者の話 9.2MB)


8月3日:期末試験
試験に際し、A4用紙1枚の持ち込みを許可します。用紙はどのような使い方をしてもよろしいが、試験終了時に解答用紙と共に提出することを義務とします。
試験の合否及びその他の連絡も引き続き、本ホームページを使って行いますので、ページチェックを忘れないように。


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