学生からの質問(2000年10月31日)

学生(1・2年次生)の質問に学生(修士学生)が答える、の最終回です。
首を傾げたくなるような回答もありますが、敢えてそのまま掲載します。
さらに質問のある学生は 岡田成幸 まで、メールでどうぞ。

社会工学入門Ⅰ 建築家の守りの戦術(3) ソフト系:コミュニティ(共同体としての防災力)


35組
回答者:修士1年生(Y.K.)

札幌
1.「積雪期の地震対策は。」3
情報収集の迅速化がはかれれば対応は早くとれるでしょう。しかし、豪雪時には除雪が行き届かず救援システムが、一時機能しなくなる可能性もあります。

2.「このあたりで地震が起きたときの避難所はどこなのでしょうか。」
自分の住んでいるあたりを歩いて、よく観察しておいて下さい。公園、小中学校、など避難所に指定されているところを確認しましょう。

3.「震災時の北大の可能性は。」2
北大の建物も老朽化著しく、地震時に倒壊の可能性を否めませんが、この広大なキャンパスをオープンスペースとして考えると、災害時における可能性がないともいえません。北大建築の都市防災研究室でもこのテーマで研究が進められようとしています。

4.「札幌市に地下シェルターを造る計画はないのか。」
聞いたことありませんね〜。今ある地下空間は、災害時壊れることがなかったら安全なスペースを供給できるかもしれません。しかし、液状化や豪雨などが重なった場合は大変危険となります。

5.「札幌ドーム以外で、札幌が誇れる現代建築は。」
あなたの言っている誇れる現代建築というのが、有名建築家が設計したというのであれば、ほかにいくつかあります(例安藤忠雄:渡辺淳一記念館,中島公園そば)。しかし、良い建築かどうかというのは自分の眼で確かめて下さい。

川崎
6.「神奈川県の対策と、川崎市の対策に違いがあるのはなぜか。」
神奈川県の対策はあくまで上部機関の対策であって、より地域住民に密接した川崎市の対策とは自然と異なるためです。
また、この場合川崎市は住民との距離が近いため細かいケアができていることも考えられます。

7.「川崎市の場合、本部が地震の被害を受けた場合の対策はあるのか。」
災害対策本部のことなら、地震発生後に設置されるので被害に遭うことはありえません。情報システムのことならば、現在、コンピュータの小型化・分散化が取り組まれていると思われます。それによって、被災時のリスクを少なくしています。

8.「川崎市の作図班はどうしてコンピューターを使っていなかったのか。」
使ってないはずはないと思います、パソコンの普及した現在、GIS(地理情報システム)を使った表現はもはや常識です。

その他
9.「震災に備えるために、建築ではどのような事を行っているのか。」
地震に耐えるための、耐震設計。地域、都市防災計画などがあります。

10.「地震予測はどこまで可能なのですか。」
予知ということでは、

11.「災害対策にはどれくらいの費用がかかるのか。」
事前事後、様々な経済レベルの対策が考えられますが、具体的にはしりません。ただ、かなりの額のお金が動くのでしょう。

12.「阪神に比べ鳥取での被害が少ないのは時間帯のためか。」

13.「災害訓練は被害時の心理状態を考えてなされているか。」
子供の頃を思い出して下さい。そんなに臨場感あふれる訓練はどんなに意識の高い人たちでも難しいでしょう。ただ、心理状態を考慮してシュミレーションした研究はあると思います。


36組
回答者:修士1年生(Y.N.)

札幌市関係
1.北区に住んでいて市民団などは聞いたことがないが本当にあるのか
住民自らが自分たちの住んでいる地域の災害に備えをする自主防災組織があるようです。また、まちづくり構想を行うまちづくり協議会もあったようです。

2.北18条門近くの避難所はどこか

広域避難場所

北大農場(北18条以南) 北8~18条西10~13丁目
北大農場(北18条以北) 北18~23条西9~13丁目



収容避難場所

幌北連絡所(幌北会館) 北17条西5丁目
幌北児童会館 北17条西6丁目
北辰中学校 北18条西2丁目
幌北小学校 北19条西2丁目
札幌工業高校 北20条西13


などですね。
これは、札幌市ホームページの防災関連に載っているので調べてみてください。


3.札幌で大地震が起きた時毛布2万枚で足りるのか
一概には言えないでしょう
例えば阪神大震災では震災2日後に3万7000枚の毛布が救援物資として配布されたようです(参考までに)

4.札幌で大きな地震は起こりそうですか
起こるかもしれません

5.札幌市には中途半端に古い建物が多いと思うがこの建物の耐震性は大丈夫なのか
古い建物は基本的に耐震性に優れているとはいえないのでしょうが、札幌は北国であることから基礎がしっかりしていると言う点では耐震性は高いのでは。

6.札幌の災害時の防寒対策は十分か
地域防災計画参照

7.札幌市での防災訓練はどのようにしているのか
毎年防災の日にははしご車などの訓練が行われています
その他各地区ごとにそれぞれの訓練が行われているのでは

8.札幌における防災は市民協力に期待していると言うがその連携はうまくいっているのか
防災ボランティアネットなど

9.札幌市の高所監視カメラは地震が起きた時壊れて使えなさそうですが大丈夫か
わかりません

川崎市関係
10.川崎市の震災対策はすごいものだと思うけれど大地震が起こってそのシステムさえも作動しなくなった場合はどうするのか
おそらくは後方支援等に頼ることになるのでしょう

11.川崎市のシステムでは実際緊急職員が何人くらい配備されていてどれくらいの救助等を同時に行えるのか

12.実際に効果が高いとされているのは札幌市 川崎市のどちらか
不明

13.震災以前から対策を考えているがその対策の対応範囲から逸脱した場合はどうなるのか
これも周辺等の支援を仰ぐことしかないのでしょう

14.災害に対して行政のできることには限界があるのは当然でありやはり自分の身は自分で守らなくてはならないが家具の補強や非常食の備えなど以外に僕らのできることはあるのか
これも札幌市の防災ホームページを見てくださるとよろしいかと思います
日ごろの備え・自主防災組織・・・等でなにかわかるのではないですか

15.地震が起きた場合に備えて大学などの組織は何か対策を考えているのか
(類似:災害時、小中学校などはたいてい避難所になっているが大学の役割はどのようになっているのか)
大学も広域避難所になったりしています
その他の防災対策を積極的に行っているのかどうかはわかりません

16.東海地震が起こるとのうわさがあるが起きた時の災害対策はどのくらい進んでいるのか
http://www.city.kawasaki.jp/の川崎市のホームページの防災のところを見てください

17.建築物も車などと同じように破壊実験を行うのか
実物大での加力・加震実験は行われています

18.地震の一番危険なことは何か
予測不可能な時期に一度に広範囲が被害を受けること
家具が倒れてきてつぶされることなど・・・・

19.地震予知は不可能か
それが可能になることを目標に研究を進めているところもあると思いますが
それは近い未来に実現されるとは思えません それゆえもしも地震が起こったときのために事前・事後対策を積極的に進めているのです

20.いつ頃から各市町村が防災対策を考え始めたのか

21.海外での建築家を育てる教育というのは構造などをあまり重視してやらないということを聞いたがそれは本当か
デザイン専門と構造の専門に分けて教育を行っているところはアメリカやヨーロッパで見受けられると思います。
日本でも建築学科と言いながら、構造はほぼ無視してデザインのみに重点をおいた教育を行っているところもあるようです


37組
回答者:修士1年生(N.K.)

1.地盤が強い土地は地震災害は少ないのですか?
→他の条件(震源からの距離など)が同じならば,地盤が良い土地は悪い土地に比べて震度が小さくなります.震度が小さければ建物が地震に耐えられる可能性が高くなり,その結果として災害も小さくなるでしょう.

2.地震の予想はできるのでしょうか?(2)
→地震予測は昔から多くの試みがされてますが,難しいのが現状です.現在は被害が懸念される東海地震の予測が行われています.

3.最近,島根や三重で多く地震が起きているが,大地震は集中して起こるものなのか?
→そんなことはないと思います.大きな地震は小さな地震よりも起こりにくいといわれます.また大地震の後には多くのより小規模な地震(余震)が起こります.たくさん起こったのは余震です.加えてニュース等での扱われ方の影響もあってそのように感じたのではないでしょうか?

4.札幌市の冬の防災対策をもっと詳しく聞きたい.(5)
→ ↓によると,積雪による道路の混乱,ライフライン停止時の寒さへの対策などがあります.
「札幌市地域防災計画」 http://www.city.sapporo.jp/shobo/tiiki/index.htm

5.札幌市に住んでいるが,周辺でビデオのような防災活動が実際に行われていないと思う.自分が知らないだけなのか,それとも札幌市全域でそうなのか?
→おそらく全域でそうなんだと思います.

6.災害対策の本部などが被害を大きく受けたときの対策は,川崎市では十分にしてあるのか.(2)
→大丈夫だと思いたいですね.

7.川崎市では,住民が中心となって自主訓練なども行っているのですか.また情報システムについてどれくらい知っているのか.
→川崎市のHPで,情報システムについてのな紹介があります.また広報による情報提供も行っています.
「川崎市」 http://www.city.kawasaki.jp/

8.昔に建てた法隆寺や五重塔は地震に強いのになぜ,さらに技術が進歩したはずの現在の家は災害に弱くなってしまったのですか?(2)
→重要な建物はたとえ災害で破損しても修復されて残る場合があります.普通の建物は破損が大きければ解体されてなくなってしまいます.使われている技術も,現在の(木造の)家と比べれば法隆寺などの方が上にも思えます.だから技術が進歩したのに災害に弱くなったとは言えないでしょう.

9.震災時に建築に携わっている人はなにができるのか.
→建築の知識を生かして,建物の安全確認や被害調査ができます.

10.建物の基礎を造る時点で地震に負けない構造はできるのだろうか?(2)
→建物と地盤の間を積層ゴムなどでつなぐことで建物に伝わる地震力をカットする構造を免震構造といい,近年普及しつつあります.

11.阪神大震災以前の建築で,新しい建築基準を満たしていないものはどうすればよいのか?
→建築基準に適合するように改修・改築するのがよいですが,特に法的な規制がなく,また多くの費用がかかることから,昔の建物の多くは建築基準を満たさぬまま立っています.自治体でも改修補助を行うなど対策を行っているようです.

12.市民~町・市・県の災害対策のつながりはどのようになっているのですか.(2)
→市・町は住民に密着した業務を行い,県が市・町を調整・応援します.

13.外国では自然災害に対してどのような対策をとっているのですか.
→例えばアメリカでは,災害が起これば被害が発生するという前提のもとで,災害後の被災者支援に関するソフト面の対策に重点がおかれているみたいです.

14.地震に対する対策がしっかりしているかどうかによって,その被害にどのくらいの差ができるのでしょうか.
→被害量=災害の大きさ-対策(かけたお金,人の数,やる気,時間) というような式で評価できないため具体的な差を上げることはできません.有効な対策を施せば被害をより小さくできる.

15.震災前の神戸は防災対策がなされていなかったのですか?今もあまり災害の起こらない地域では,対策がきちんとなされていないのでしょうか?
→いくら対策をしていても,予想した以上の災害が起これば大きな被害が生じます.神戸がその例でしょう.対策は過去に起こった災害に基づいて行われることが多く,あまり災害の起こらない地域では,被害の予想が甘くなってしまうことがあるかもしれません.

16.どうしたらもっと積極的に防災対策をとろうという意識が広まるでしょうか.(2)
→意識向上のためには,災害をもっと身近なものとして感じる必要があると思います.

17.日本の災害対策には,いったいどれくらいの金額がかけられているのだろうか.
→わかりません.

18.町内会等の組織強化以外のかたちで,住民レベルの防災対策をしているところはないのだろうか.
→住民中心の防災対策は,町内会のみでなく,家族などでも行っていることでしょう.また町内会とは異なる枠組みとして,自主防災組織という存在もあります.

19.地震に対しての日本人の意識のレベルは本当に上がってきているのでしょうか.阪神大震災のときの反省点は本当にいかされているのかが疑問です.
→時間が経過するにつれて,人々の災害に対する意識は低下してしまう傾向にあります.

20.行政の情報システムが災害で機能しなくなる可能性はないのか? (3)
→阪神大震災では行政の建物が被害を受けたために,災害への対応が遅れるといったことがありました.

21.コンピュータがどこまで災害に役に立つのか?(2)
→災害が起こったときには被害状況を的確に把握して素早い対応をとる必要があります.多くのさまざまな機関との連絡調整も行われます.そのような場合にコンピュータは非常に便利です.最近発展目覚ましいインターネットを利用することで,広い地域の情報を一カ所に集めたり,一度に多くの人により正確な情報を伝えたりできて,円滑な活動の一助になると考えられます.

22.この社会工学系(北大)での災害への対処の研究は,全国的にみてどの程度すすんでいるのですか.


38組
回答者:修士1年生(T.H.)

・原子力発電所は海沿いにあるから、災害が起きても我々は大丈夫と名大の教授が言ってたが本当か?
→災害の規模にもよるが、間違いなく嘘でしょう。

・災害対策で最も重要なことは何でしょうか?
→事前、事後対策ともに皆で協力し合うこと、冷静に対応すること、淡い期待はしないこと。

・火災に対する建築の作り方で気をつけないことは何か?
→難燃材、不燃材の導入。避難経路の確保。

・防災訓練があまり行われないのは費用のせいか?
→皆さん、そんなに暇じゃないでしょう。

・欠陥住宅の基準、発生理由、工事法。
→長くなるのでお答えできません。Yahooで検索してみなよ。

・被害対策本部が被害にあったらどうするか?
→対策本部は災害が起こった後に設置されるので被害にあいません。

・電気が止まったときの対策は?
→ホントに困るところ(病院、役所など)は自家発電機でその場をしのぎます。それ以外の人は復旧するまでの約3日間、我慢します。

・全国の一の防災対策都市はやはり川崎市か?
→一概に言い切れないのでは。

・地震に強い家は、どんな建て方をした家か?
→一般にツーバーフォーや軸組工法などで建てられた家が強いと言われるが、在来工法でもちゃんとした業者にしっかり作ってもらえれば十分強い。でも、金と時間と信頼関係も要るかも。

・ビデオでやっていた防災対策はきちんと地域住民に根付いているか?
→自明ですが、根付いていません。

・地震などでダウンしない情報システムはあるか?
→コンピュータを分散配置し衛星回線などで繋げば、地震が発生しても生き残ったものだけで対応できる。

・地震以外の災害(台風、洪水、渇水など)対策は存在するか?
→都道府県や建設省のHPを見てください。誇張気味ですが、いっぱい載ってます。

・防災対策には、市民の理解が一番大切ではないか?
→正解!!

・冬に発生したときの対策はとられているか?
→岡田先生出番です。

・北大生に防災訓練しないのか?
→やっても無駄かも。どこをうろついているのかも判らないしね。

・災害予測する技術はどのくらい進んでいるか?
→被害予測はそれなりに進んでいるが、発生予測はぜんぜんダメです。できたら、ノーベル賞か大富豪でしょう。

・首都機能を分散することは将来ありうるか?
→移転はわずかにありうるが、分散はまずないでしょう。でも、地方分権が進めば実質的に分散されたことになります。

・川崎市の防災システムが全国に普及するのはどのくらいあとか?
→不明

・川崎市の防災対策に問題点は無いと思うが、あるとしたらどういう点か?
→それを指摘するのが、社工入門の課題なのでは?どうしても知りたければ、周囲の人に聞くか、建築の岡田成幸のところまで来てください。きっと、彼が優しく教えてくれます。

・川崎市の自主防災に対する対応はどうなっているのでしょうか?
→質問の意味が良くわかりません。

・地震発生直後に、すぐ外に逃げるのは危険か?
→家が大丈夫そうなら出ないほうがいいです。まず、家族の安全確認でもしましょう。家がミシミシいってたり、火災が起きたなら逃げるべきです。

・もっとも安全な建築のデザインとは?
→ただのずんぐりむっくりなコンクリートボックスと思いがちだが、実際は、5重の塔などの柔らかく地震力を逃がすモノの方が強かったりするので一概に言えない。ちなみに、銀座に建築中のエルメスビルもそのような構造方法を採用している。

・(大きな字で)大地震でもコンピュータシステムは寸断されないんですか?
→されるに決まってるじゃん。かわいい質問ありがとう!

・札幌市でポパイ計画と名付けられたのはなぜか?
→知りません。きっと、『コンサドーレ』と同レベルの次元でしょう。

・札幌市でよく見かける1階が駐車場になっているマンションは潰れやすくないのか?
→設計にも拠るが、はっきり言って潰れちゃいますね。

・東京ではどのような防災対策をしているか?
→説明しきれません。東京都のHPを見てください。


再履修
回答者:修士2年生(H.O.)

1.壊れない建物,崩れない土地,といった究極的な建築は可能か?
→崩れない土地は土木の専門であるから何とも言えない.
建築においても,外力の想定によりますが,(絶対に)というものは無理でしょう.

2.緊急時における民間への強制力は行政には存在しないのですか?
→存在します.たとえば災害対策基本法にはこういうくだりもあります.
(市町村長の警戒区域設定権等)
第六十三条 災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。

災害対策基本法の全文はこちら



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