都市安全学(2010年度)

2010年10月21日(木)14:40~16:10
第1講 災害発生メカニズムと対策

Q1:我が国の防災組織の関係で、縦の関係は分かりましたが、横のつながりはどうなっているのでしょうか。
A1:阪神淡路大震災後は、他都市間でも消防防災や支援協定などを締結するなど、横のつながりも強化しようとの動きが出始めています。


Q2:防災学とは、非常に幅広い学問の集大成であることが改めて理解できた。その学問は地震学から経済社会学に至るが、川上となる学問を強化・重要視することで一次的被害を押さえることができるので効果的にも思えるのですが、単純でしょうか。
A2:そこで被害を押さえ込むことが100%できるのなら、それがもっとも効果的でしょう。しかし、予想を超える入力が来たり、また対策の対費用効果を考えたとき、後段の対策も重要となってきます。


Q3:時空間連鎖について、要素間のリンクを断ち切る対策とは具体的にどのようなことが挙げられるのか。
A3:たとえば一軒の「出火」を地域の「延焼」に発展させないためには、延焼に繋がらないように隣棟間隔を広げる政策をとったり、防火線を配置したり、町の消防力を強化するなどの色々な対策があります。「要素」→「要素」の流れ(メカニズム)を理解することにより、対策は種々生まれます。


Q4:Risk=Frequency×Impactと表現していたが、Frequencyが下がればImpactは高くなる傾向があるので、Riskが大きくなるのか小さくなるのか、数式としての表現性が今ひとつ見えてこない。
A4:RiskとはFrequency(確率)とImpact(損失)の相反現象です。そこを数値表現することにより、事象間のRiskの大小比較が可能となり、意思決定につなげていこうという定義式なのです。しかし、この式では低頻度高被害が発生する場合は発生確率がより大きく変動するダイナミックな背景が取り込めないので不十分であるとの見方も存在しています。


2010年11月11日14:40~16:10
第2講 防災政策論

Q1:耐震改修の話と建物の平均寿命30年について疑問があります。仙台の旧市街地と呼ばれるところには、かなり古いと思われる建物が多く見受けられます。そのあたりでは建物年数30年を優に超えていると思われる一戸建てに、80歳代ぐらいの方が住まわれていることが多いです。建物の平均寿命が30年というのは、戸建て住宅に当てはまっているのでしょうか。よくマンションでは30年ぐらいに大規模改修が必要になると聞きますが。また、住宅の改修工事には数百万円から千万円単位の費用が必要と思われますが、高齢者の場合、費用の工面は難しい気がします。古い家に住まわねばならない高齢者の問題にどう対応していったらよいのか気になります。実際の地震被害で高齢者に被害が多いのも、このような住環境に起因することもあるのではないかと思います。
A1:まず、日本の住宅の平均寿命が30年ということについて。平均的に見ると日本の住宅は30年で建て替えられています。余談ながら、車は3年ごとに買い換えられていますが。どちらの統計データも、日常我々が思い描く感覚とずれているかも知れません。それは、ご指摘の中に間接的表現で書かれている、格差社会のためとも言えましょう。統計的分布が正規分布をしていないため、極端に早く建て替える(買い換える)集団がいると、平均値は中央値を外れてしまうからです。ご指摘のように、建て替えが難しい階層では危険な建物が使われ続けています。当然のことながら、本来、耐震性の高い建物を供給し、その結果として建物の平均寿命を延ばしていかねばなりません。そのような安全なストック社会を目指すべきなのです。
 では、どうするか。ここが一番の問題点です。阪神淡路大震災以降に、住宅耐震改修促進法が制定され、税金による改修費用の一部支援が実現しました。画期的な法律ではありますが、支援額が未だ十分ではないために利用率もそれほど高くありません。講義で解説した日本人の住ライフスタイルの変革も一つの方向性だと思っています。どれだけ魅力的な付加価値を提案できるかにかかっているのでしょう。


Q2:災害の不平等生とは、講義で話されたこと以外に何か例はありますか?
A2:現状の社会に起こっている実例を探すことも大切ですが、今後どのようなことが起こりそうかという「先見性」「洞察力」が研究者には必要なのだと思います。あなたは、今後何が問題となってくると思いますか?


Q3:地震被害を受けるのは弱者であったり、多発する地区があるという話でしたが、全体で統計的に見るとそうなのでしょうが、実際には、この時間に普段はいたはずの場所にいなかったので助かったとか、たまたまこんなことをしていたので被害に遭わずに済んだというようなことも、よく聞く話です。そのような奇跡的な現象も統計的に見ると薄まってしまうのでしょうか。
A3:統計的に処理をすると、やはり確率的に高くなるのは普段の環境がどのようであるか、ということなのでしょう。被災確率は普段の生活環境を映し込んだものなのです。


Q4:民間ベースの耐震診断・耐震補強が低調です。単純にコスト的要素が大きいのかと考えていましたが、そうではなく、様々な要素があることが改めて理解できました。政策的な要素が大きいように思えます。
A4:そうですね。それに加えて、耐震補強のメリットが十分に一般住民に伝わっていないことと、耐震補強により同時に使いやすさや住みやすさ、住宅の美しさや、かっこよさも強調される補強方法であるべきだと思っています。住民がお金をつぎ込んだ価値がある・元を取ったと思ってもらえることが大切なのだと思います。



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