都市安全学(2009年度)

2009年10月26日(月)16:20~17:50
第1講 防災政策の歴史と枠組み

東海圏における地震防災対策/防災の座標軸/防災政策論/政策とアクションプランの実際について解説しました。時間切れのため、残りは次回にお話しします。

以下、学生からの質問です。

Q1:地震災害にみるインパクトを考えるときに、見えない被害(複合性、時間変動性、広域性)というものがありましたが、この予測至難の見えない被害を考慮したリスク評価手法や研究は、げんざいとういったものがありますか?
A1:見えないリスクを評価することは、指摘のとおり至難です。現在、各自治体が行っている被害評価(リスク評価)は、経済被害を考えるようになってきましたが、まだ中途のものです。
次回お話しする震災のダイナミクスは、個人世帯を対象としたものとして、リスク評価ではありませんが、ポテンシャル評価として本邦初のものです。
また、地域(都道府県)を対象としたポテンシャル評価は、太田裕氏により、以下のものが報告されています。
太田裕:地域統計資料にもとづく行政区別耐震性評価の試み、自然災害資料解析、9、1-14、1982.


Q2:「幸せ」という言葉を分析しようとしているところに興味を持ちました。安全性は数値化しやすいと思うのですが、「SAFE」という観点でどのように「幸せ」を数値化するのか、教えて頂けますでしょうか?
 また、2つが比例しているのかについても関心があります。
A2:なかなか難しい質問です。私は「幸せ」という概念を構成する要因の一つが「安全」という捉え方をしています。安全のみでは幸せを感じませんし、安全が抜けていても幸せに落ち度があるでしょう。そうなると幸せそのものは多次元尺度を持つものとなります。経済学では「豊かさ」を「効用」という言葉で表現します。具体的計算には「金額」が用いられますが、概念としては「豊かさ」を扱っているわけです。あなたは安全の数値化については「しやすい」と書かれていますが、安全とは何かを突き詰めていくと、結構難しいものです。次回の講義でその辺りをお話しする予定です。


Q3:自分の専攻は都市分析学研究室ですが、今回の授業の「集中と分散」でいうと、集中や利便性を主に学んでいます。実際、自分はあまり安全というものについて深く考えたことはなかったのですが、これらを結びつける活動や方法論的なものを知りたいと思いました。
A3:それが正に防災学ですね。本講義もその内の一つですので、全体を通して学んでもらいたいと思います。


Q4:安全性を追求すると幸せは追随してこないという風にグラフでは読み取れますが、具体的にはどのような状況(状態?)のことを言うんですか?
A4:幸せをどのように考えるかと言うことが問題ですが、一般に安全性と対立する幸せにつながる概念は、多いと思っています。一例としては、都市集中でしょうか。集中することにより新しい仕事が発生し、職業の選択肢が増えるし、高収入の機会も増えます。これは追求すべき幸せです。その反面、集中により延焼危険度の高い災害に脆弱な街となってしまいます。



Q5:多くの人々にとって、災害が起きるという想像が難しいと思います。強く意識させる具体的な方法はあるのでしょうか。
A5:想像(イメージ)は対策への一歩だとは思いますが、防災に係わる対策や研究の多くはそこで思考停止になってしまっているような気がします。具体的な対策ツール(道具だけではなく制度を含めたソフトも対象となります)の出現が望まれます。


Q6:個人資産に行政が介入する部分の話で、一部負担のみで全額負担ではないため、(制度が)浸透しないのか、などと考えながら聞いていたのですが、行政が目的とするこの負担金額や年間の(起震車による)地震体験の木業人数は何を基準に決められているのでしょうか。1%を目標に決めているのか、前年度の比較などで決めているのか。負担額は県の割合が決まっていたりして、人口によって変わるのか。
A6:行政の目標値の決め方は一般に達成可能性を念頭に置いていることは間違いありません。国ベースの耐震化率90%を10年で達成しようと言う政策も同様です。自然建て替え率に若干上乗せすれば達成できる数値です。但し耐震化の定義が少し甘く、1981年以降の建物は全て基準を充たしているとして計算しているのが気になりますが。


Q7:公私で考えると、私まで対策が行き渡っていないのが現状(対策マニュアルなし、リスクの意識も低い)→公に「権限」の他、「教育義務」を制度として国から与えるといかがだろうか。
A7:教育は重要な視点だと思います。しかし、その教育も「小さな政府」志向の基に自由競争化しているのが気になります。


Q8:地域自主防災組織を立ち上げるというニュースあるいは立ち上げようという計画(宮城県など)を良く耳にしますが、「あいち防災リーダー会」は自主防災組織として機能しているのでしょうか。お上主導のようにも見えます。
A8:あいち防災リーダー会(以後、リーダー会)は人を育てる「あいち防災カレッジ」を修了した人のアフターケアとして機能しています。リーダー会には自主防災組織に係わっている人も大勢いますので、自主防の技術力アップに役立っているのは確かだと思います。企画しているのは愛知県なので、お上主導であるのはそのとおりです。自主防を育てる一貫と考えて良いでしょう。


Q9:公の防災マニュアルについては説明がありましたが、現在考えておられる個人の対策マニュアルの例などがあれば教えて頂きたいと思います。
A9:日本の地震対策は世界的水準でいうとトップクラスですが、個人防災のみ着目すると、対策らしい対策はほとんどありません。住宅耐震化のための簡易補強法が出てきたくらいでしょうか。なぜ進まないかの理由は今回~次回の講義を通して理解できるのではないでしょうか。私が考える個人防災については、本シリーズの最終回でお話ししたいと思っています。


2009年11月26日(木)14:40~16:10
第2講 防災政策の歴史と枠組み(その2)

前回の積み残した話題/政策と意思決定/技術革新がもたらしたLPHCリスクの対策困難性/解決への道標について解説。

Q1:本日の講義では防災と経済についてハード面からのアプローチが中心でしたが、ソフト面ではどのような考え方ができるか知りたいです。
A1:それについては、本当は今回お話しする予定でした。次回お話しします。


Q2:生活再建支援をあてにして耐震補強しないという人々の行動はモラルというよりも、当然であるような気がします。生活再建支援と耐震化は別々に考えるべきではないでしょうか。耐震化が必要ならば法を改正しなければ進まないと思います。
A2:当然でしょうか。国の税金が個人財産である住宅の補強費支援に回るのを期待して地震で壊れるまで耐震化しないというのはモラルハザードだと思います。その人の家が壊れることが地域社会への危険につながるので、事前に耐震化することを呼びかけているし、一度壊れたら耐震化住宅にしましょう、国もそのために補助しますから、と言っているのです。しかし、日本ではそのようなことを期待して耐震化を送らせている事実は、今のところ報告されていません。それほど日本人はひどい考えを持っているとは、考えたくはありませんね。耐震化が必要ならば法制度改正をとの指摘ですが、日本は既に建築基準法の改正で法制化しています。それとも別の法制化のことをいっているのでしょうか?


Q3:資本主義と防災対策についての質問です。技術が進む一方で利益を追求することと姉歯問題が起こることについてどう思われますか?
A3:姉歯問題は一個人が引き起こした犯罪ですが、市場原理主義がはらんでいる危険な部分(モラルハザード・低品質サービスの横行)でもあります。情報の非対称性が問題発生の根本にあり、市場原理主義はその非対称性を構造的に修復する機能を持っていないからなのです。それを避けるためには、情報公開は当然のことながら、その情報を読み解く消費者サイドの情報リテラシー向上もポイントになると思います。
 姉歯事件は、その後の官の対応がさらにまずいことに気づくべきです。岩井克人氏も言っているとおり、事件発生後、政府は建築確認申請にピアレビュー方式を持ち込みました。これはダブルチェックという労を多くする仕掛けであり、これにより建築業界は大不況に陥り、さらに悪いことに、建築基準法は最低基準であるにもかかわらず、これさえ守れば全てよしというような最低基準の権威を高めてしまいました。情報のミスリードの典型と言えるでしょう。


Q4:私は震度に関する研究を行っており、あまり防災の方まで触れないので、今日の話を聞いて、経済と深く関わっていることが分かり驚いた。
 仙台は、今日はなされていた都市における被害が大きく出るように思われた。学生が多くて、今までの被害などもあまり伝えられていないと思い、仙台のような都市こそメディアなどを通じて伝えていくべきだと思った。
 人々のモラルにより、どこまで保証するかという話のところでは、非常に難しい結論だと思った。年代によっても異なってくるのではないかと考えた。
A4:モラルや価値観のパラダイムシフトで防災文化を新たな方向へ転回させようというのは、確かにその人々(世代)のライフスタイルに係わり、時間のかかることですが、幼年期からの教育により効果は上がると思っています。残念ながら、わが国にはまだそのようなしくみはできていませんが。


Q5:都市にどんどん人が集まって都市の災害対策を優先しなければならず、地方に予算が分配されずに(地方の)対策が進まなくなるということは起こりえるのでしょうか?
A5:現在は全国一律で進めている防災対策ですが、地方分権が進めば、そのような選択肢も生まれてくるということです。地方分権は地域にあった災害対策が実行できるという良い側面を持つ反面、以上のような災害格差の発生につながる問題点も持っているということです。地方分権は地域住民に施策選択権が与えられる代わりに重い責任も発生するのです。



Q6:都市防災と市場原理という言葉は今まで結びつきや関係のないものと思っていただけに、今回それらがどう関係するかの話はとても興味深いと思いました。また今回の授業内で、防災社会へ向けて災害の地域性というものがありましたが、各都道府県やまたよりミクロなレベルで災害の地域性についてまとめられた論文などはあるのかどうか興味を持ちました。
A6:ミクロレベルでの災害の地域性(及びそれが個人の生活水準にどう係わってくるか)については、本当は今回お話しするはずであったテーマでした。時間がなくなり、次回それについては解説します。


Q7:市場原理主義を考えたときに、たとえば、ものを買うという状況では、消費者は意欲的(積極的)で能動的な行動であるが、防災に関してはある程度受動的な側面もあると思います。防災に対する意識が高いとは言えないため、これが、市民の防災意識も高まり、耐震補修などに意欲的になっていけば、防災政策が市場主義原理に載ってくる項目もあるのではないかと思います。
A7:住民の防災に対する意識改革が防災を市場原理主義に載せる手段の一つという意見ですね。講義の中で、長寿命住宅に住むことがクールな(かっこいいと思う)選択と思うような価値観がわが国に広まれば、長寿命住宅の需要は自然と高まり、よって住宅の長期耐震性も住宅の資産価値評価指標となり耐震技術が市場原理に載ってくるというシナリオを展開しましたが、それに通じる考え方だと思います。問題は、仮定の部分(市民の防災意識が高まれば・耐震補修などに意欲的になっていけば・長寿命住宅に住むことがクールな選択と思うようになってくれば・・・)をどう実現させていくかということです。これを活性化させる方法が難しいのですね。市民の意識の高まりを受動的に待つのではなく、積極的に高める方策は何でしょうか?防災教育などはその一つでしょう。教育コンテンツに手法だけではなく、価値観や文化のパラダイムシフトも含めていけばよいと思っているのですがどうでしょうか。どちらにしても、時間がかかりますね。日本人は、それほど持続可能なブームを持ち続けられる人種ではないような。ちょっと悲観的でしょうか。


Q8:技術革新がもたらす防災意識の低下は、技術革新を進めなくする要因の一つですが、それは暫く技術革新を前に進めなくても構わないとは言えませんか?この矛盾はどのように説明すればいいのですか?
A8:防災意識の低下が技術革新を遅らせるわけではなくて、技術革新の結果が低頻度高被害の災害現象につながり、結果として防災意識を平常時から遠ざけ意識低下させるわけです。原因と結果の関係を誤解していませんか?
 講義で言いたかったことは、技術革新で災害が完全にゼロに押さえ込めることができれば、自然と生まれてくる防災意識低下は問題とはならないと言うことです。しかし、現実問題として、ゼロリスクは非現実であり、技術革新と共に新たな見逃されやすい災害が出現してくることが問題なのです。これは、確率論だけでは災害は克服できないということにつながります。確率論に新たな災害の出現は取り込むことができないからです。すなわち、Cost Benefit Analysisでは災害対策は最適化できないのです。


Q9:Earthquake naturally causes all kinds of influences to the society, especially for people’s life level and quality of life. Economy is among the impacts. The investment from government and organization gives much contribution to the recovery of the economy after disasters. Then the power of market influences the economic situation. With time going on, the region creates new social situation on economy and other fields of human’s living status.
A9:Have you commented on the power of market from the optimistic or pessimistic point of view? How do you think about social situation progress with time going on?


2009年12月10日(木)14:40~17:50
第3講:政策の意思決定法

前回の積み残し課題/贈与経済/とハザードマップ・リスクマップを防災政策の意思決定にどのように利用すべきかを解説しました。

Q1:地震災害と経済の関係がとても深いということが分かった。またボランティアの贈与経済の悪影響というものもでていたが、悪影響を与えないためのボランティア活動の最適解というものはどういうものであるか疑問に思った。
A1:疑問に思ったというのは、最適解というものはないのではないかという意見でしょうか、それとも最適解を知りたいということでしょうか。贈与経済が地域の経済活動を阻害しはじめたなら、その時点が市場経済への転換点であり、贈与経済から市場経済への移行を円滑にするためには、その少し前の時点から公的介入を進め、調整経済にはいるべきなのでしょうが、その転換点というか公的介入のタイミングの見極めが難しいですね。


Q2:これまでの地震復興支援は、地震によって被った損失を補填できるほど十分になされているのですか?それとも、もっと大規模な(高額な)支援が必要なのですか?
A2:1993年北海道南西沖地震の奥尻復興は、義援金のお陰で、十分な支援ができたと思いますが、他の地震ではどうでしょうか。


Q3:被災後に資金投入すると「贈与経済」となる。地震対策の段階における資金投入を進めれば「市場経済」への転換が図れる?Risk Mapはその資金投入対象の選択に有効となるはずではないだろうか。
A3:事前対策の段階で贈与経済を市場経済へ転換することは無理だと思います。地震発生段階において、贈与経済から市場経済への移行を円滑に進める公的介入が必要となります。


Q4:Although the supply economy leaves some wastage to the economy of area which has suffered earthquake, if volunteers don’t give supplies the victims would take a longer time to recover, then the government and organizations would feel troubled for that other areas may be affected and become developing more slowly. If A suffered disaster, during A’s recovery, B can’t get very much from A and A also needs so long time to buy more things from B. As for B, economic activity decreases then GDP will probably be on decline. Concerning A, recovery would be much harder, then residents get depressed and have less energy for production. That may lead a worse result.
A4:I don’t say that volunteers are not necessary for recovering the attacked area, but indicate that a longer activity of volunteers give rise to the donation economy which turns out to be a cause of interfering with the recovering economic market of the area. It is important for volunteers to timely withdraw from the damaged area from the local economical activity’s point of view.


Q5:支援物資によって、与えられる経済の影響に驚きました。良いことだと思ってしたことが悪影響を与えたり、悪いこと(機械の入れ替えで技術向上される)が良い結果を生んだり、非常に難しい問題だと思いました。
 震度ごとの普段の生活に戻るまでの期間のグラフで、震度5あたりのもので、1年目あたりで一度値が下がってしまうのはなぜですか?
A5:震災ダイナミクスの話で、被災後の生活水準を関数化したことに関する質問です。算定式については講義で配布した科研報告書を見てもらうと分かると思いますが、複数の指数関数を合成しています。従って、指数関数の極大値が発現する時間に差があるため、その総和としての生活水準が低下する現象が発生します。1年後あたりに発生するのは、恐らく、住家復旧のための建設費用に係わる経済効果(建設費用の借金返済がこのころから始まる)のためではないかと思います。


Q6:Risk Mapによって危険地域を指定しても、たとえば耐震化のためにある地域だけ耐震化の補助をするなどの対策をしようとするとその他の地域から、不公平だということがでると思います。Risk Mapの意味を住民に周知徹底する必要があると思います。
A6:「地域」をどのような単位で考えるかにより、問題の難易が大きく変わります。たとえば、市町村を一地域として考えるのであれば、市町村により助成制度は異なりますので、現実に助成の厚い薄いという地域差(市町村差)は存在しています。しかしこれは、地方税に関しては市町村内では同一基準で徴収されており、その使い方は市町村に一任されているので、それほど問題にはなりません。あなたが言うところの「地域」とは、同一市町村内における地域差のことではないかと思います。確かに不公平だという意見は出てくるでしょう。しかしこれも現実に、たとえば道路舗装率や下水道の水洗化率では明らかに地域差は存在しています。私の居住地である札幌市は、冬の除雪体制の地域差はかなり大きいです。同一の地方税を徴収されているのに、公的サービスの地域差は現に存在しています。話を耐震化政策に戻しましょう。市全体の安全性を考え、危険性の高い地域を重点的に耐震化するのは、一政策としてあり得ると思います。これは個人の耐震化の問題もさることながら、町全体で考えたときのBCPや復興問題と絡み、市全体の安全の確保(底上げ)が計れ、災害時の歳費が抑えられ市民全体にその恩恵は還元されます。また、安全は市全体のストック資産でもあるわけです。安全な地域に住んでいる人たちの税を高くし、それで危険な地域の安全化を図ること、つまり安全の再配分は市政としても成立するのではないかと思っています。


Q7:都市計画観点からの都市防災についての講義はとても興味深いものでした。ハザードマップの都市計画への応用の必要性が分かりました。しかし現状ではそういった例が見られないとのことでしたが、なぜそれが進まないのか不思議に思いました。
A7:一つは都市計画部門に防災プロパーの人材がいないことと、全体を統括する部門にもそのような視点を持った人材がいないということだろうと思います。


Q8:時間軸と街の発展と衰退のところで、Risk評価の方法としてRisk(t)=Hazard×Vulnerability×Population(t)を用いていましたが、このPopulation(t)はどのように算出しているのでしょうか。少子化などの時代背景もありますが、スプロール現象が進行して市街地が今後さらに膨張し、将来的な危険度は増大するのでしょうか。
A8:Population(t)は、当該地域全体の将来人口をOppenheimの式より推計し、分布に関しては人口密度を制御パラメータとする指数関数で中心市街地から距離漸減する法則で乱数を発生させ、シミュレーションを行いました。詳しくは、配布した論文(岡田・太田、1988)を読んで下さい。
 将来的な危険度は、Urbanizationに拍車がかかっている社会現象に鑑みるなら、大都市ほど加速するように思います。世界的に見るならメガシティは整然とした都市計画の基に構成される場合が多いのですが、日本はdeveloped countryには珍しく、カオス的膨張を続ける2大都市(東京と大阪)を抱えています。危険性の増大化は加速度的です。


2010年1月28日(木)14:40~17:50
第4講:人間防災学

死者と負傷者の発生メカニズムとその対策について解説しました。

Q1:建築設計者として、常にどうやってすばらしいデザインをしつつ同時に、災害を防ぐための構造的なポイントも重視するのかを考えるべきと思います。「デザインする者と土木工学者とは敵みたいな存在である。」と大学の先生が半分ふざけるように言っていました。残念ながら、これは現実だと思います(少なくとも中国では)。日本は昔からの地震大国ですので、確かに中国とは少し違いますが、2007の四川大地震から見ると、中国も地震に対して建物を強くする必要があります。でなければ、もっと悲惨なことが発生してもおかしくないと思います。何を言いたいのかよく分からなくなってきました。ごめんなさい。でもこの講義を聴いて良かったと思います。防災の意識をしっかりしてデザインするのは豊かな安全な国を作るための一つの大切な要素ではないのだろうか、といつも考えています。ありがとうございました。
A1:意匠デザインと構造デザインとの葛藤のことを言っているのだと思います。確かに意見対立することが多く、敵対する職域であるのですが、構造的に美しいデザインもあります。往々にして、余力のない静定構造物の場合が多いのですが・・・。それでも両者のベクトルを同方向に持っていく方法論を協働して考えていきたいものですね。それが防災を普及させるキーポイントだと常々思っているのです。


Q2:(家具の)散乱範囲、負傷程度算定を自宅に当てはめてやってみたいと思います。防災などに役立つ話も多かったので、友人や家族にも伝えていきたいと思います。
A2:気を悪くしないで下さい。小学生への防災教育はそこを出発点として家族に伝わることが多く、小学生は優秀な伝道者たり得るのです。大学生も防災の伝道者になり得るのですね。広めていって下さい。


Q3:耐震補強・診断やモニタリングに関心のない人もいると思いますが、そのための現状(助成金)より効果のあるインセンティブには何があるのでしょうか。
A3:難しい問題ですね。あなたは関心を持って頂けたでしょうか。このように地道な教育が重要なのでしょう。まずはインセンティブ(認識)が防災のスタートです。


Q4:ウェブカメラによる家具の識別は手動で行っているのでしょうか。家具転倒領域を算出する際に、空間で算出する方がよりモデル化が現実と近くなると思うのですが、3Dではなく2Dにした理由を教えて下さい。
A4:(前半の質問)今のところ手動による家具入力となっています。(後半の質問)家具が転倒しつつある空間の危険度も算出することになれば、3Dが良いのでしょうね。将来問題として考えさせてもらいます。


Q5:今日の講義で構造別の住宅崩壊の仕方が異なり、それにより、死亡の危険性も変わることが分かりました。大変興味深く聞かせて頂きました。
A5:興味を持ってくれてありがとう。自分の研究に生かして下さい。


Q6:アメリカなどに比較すると、日本は土地が狭く、家が小さいと良く聞きます。必要な家具数や大きさは、ほとんど違いがないと思うのですが、そこで、日本より家の床面積が広いアメリカなどと比較すると、家具転倒による負傷率はどのように変わってくるのか?具体的な比較数値などは出てくるんでしょうか。
A6:基本式は変わりませんので、計算してみて下さい。アメリカの個人住宅におじゃましたことがあるのですが、確かに家全体としての面積は広いと思います。しかし、たとえばキッチンとかダイニングは意外と狭かったり、家具が密集していたりなどで、部屋別で見ると危険な場所もあると思います。



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